「矯正治療は費用もかかるし、通院する時間もない…」
「自分で歯並びを治す方法はないのかな…」
こんなお悩みをお持ちではありませんか?
そんな時、SNSや動画サイトで「輪ゴムで歯を動かした」「指で押し続けたら歯並びが整った」といった体験談を目にして、自力での矯正に興味を持つ方は少なくありません。
また、市販のマウスピースで手軽に歯並びを改善できるという情報を聞いて、試してみたいと感じた方もいるでしょう。
しかし、ご自身で歯を動かそうとするのはとても危険な行為であり、絶対に止めてください。今回は、自分で歯並びを調整する危険性、歯並びの悪化を予防する習慣、治療法などについてお話ししたいと思います。
そもそも自力で歯を動かすとはどういうこと?

まず、いわゆるセルフ矯正として紹介されている方法にはどのようなものがあるのか、挙げてみましょう。
- 輪ゴムで歯を締めつける方法
- 指で歯を押し続ける方法
- 割り箸を歯にあてがう方法
- 市販のマウスピースを使用する方法
いずれの方法にも共通するのは、『歯科医師の診断や治療計画がない状態で歯に力を加えている』という点です。
自力で歯を動かすと、歯を支える骨にダメージがおよび、歯茎の炎症や最悪の場合は歯の脱落につながることがあります。
また、自力でのセルフ矯正には、動かした歯を固定する「保定」の概念がありません。もし奇跡的に歯が少し動いたとしても、力をかけるのをやめればすぐに元に戻ってしまいます。
このように、ご自身で歯を動かそうとすることにメリットはなく、危険性ばかりが高いので、全く推奨できるものではないのです。
自力で歯並びを動かす5つのリスク
ここからは、セルフ矯正によって起こりうるリスクについて解説します。
歯根(しこん)が溶ける

セルフ矯正は、歯根(歯の根っこの部分)が溶けて短くなってしまう歯根吸収(しこんきゅうしゅう)を引き起こす可能性があります。
歯根が短くなると歯のグラつきが大きくなり、長い目で見ると歯の寿命を縮めることになります。また、一度短くなった歯根は元には戻りません。
歯根吸収については、歯の根っこが溶ける?歯根吸収とはのコラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参考になさってください。
歯並びが悪くなる

仮に気になるのが1箇所だけであっても、歯並びの良くない箇所はそこだけとは限りません。
歯列矯正では、歯の左右の位置だけでなく、上下の噛み合わせも考えて、全体が適正な歯並びになるように矯正治療を進めていきます。そのためには、気になる箇所だけでなく、他の歯も動かす必要もあります。
ご自分の判断だけで気になる部分の歯だけを動かそうとすると、歯全体のバランスが崩れ、かえって歯並びの悪化を招いてしまうことになりかねません。
噛み合わせがずれる

歯並びのバランスが崩れてしまうと、上下の歯が適切に噛み合わせられなくなる可能性もあります。
そうなると、噛み合わせの力が適切に歯に伝わらなくなり、ヒビが入ったり、ぐらつきが大きくなったりして、ひどい場合は抜歯せざるを得ないケースも出てきます。
歯茎が下がる

歯の周りの骨の厚みは均一ではなく、場所によって厚い部分と薄い部分が混在しています。
そのため、骨の薄い部分にある歯の場合、歯を動かすと骨が吸収されてなくなり、歯茎が下がってしまうことがあります。
歯肉退縮(しにくたいしゅく)の放置は危険のコラムでもお伝えしたとおり、一度下がった歯茎を元の状態に戻すのは非常に困難です。状況によっては、歯肉移植などの外科的な処置が必要になることも考えられます。
結局、歯が動かず時間と労力が無駄になることも…
これまでご自身で歯を動かそうとする際のリスクを挙げてきましたが、逆に「何も起こらない」というケースもあります。力が小さすぎたり、短期で終わったりすると、歯は動きません。
歯科医院の矯正治療においても、歯を動かすスピードはとてもゆっくりで、歯が動くのを実感するのは難しいものです。それは綿密な治療計画に基づき、無理のないよう、少しずつ歯を移動させる必要があるからです。
決して推奨するわけではありませんが、もし自分で歯を動かそうとして動かなかった場合、それに費やした時間や労力は全くの無駄になってしまいます。
忙しく時間がない方にもおすすめの矯正治療法
歯科医院であれば、医師による正しい矯正治療によって歯並びを整えることができます。矯正方法によっては、忙しくてなかなか通院の時間が取れない方でも、安全に歯並びを直せるので、矯正治療は必ず歯科医院で受けるようにしましょう。
マウスピース矯正

インビザラインなどのマウスピース矯正は、透明なマウスピースを順番に交換して歯を移動させる矯正治療法です。目立たず、食事の時は取り外すこともできるので、町田歯科でも人気の治療法です。
最近のマウスピース矯正では、コンピューターシミュレーションに基づき、将来使う分のマウスピースもまとめて作製します。

そのため、交換用のマウスピースをまとめて受け取っておけば、頻繁に通院する必要がない場合もあり、忙しい方にも取り組みやすい矯正法といえます。実際の通院頻度は2〜3か月に一度程度で済むケースも少なくありません。
ただし、あらゆる歯列不正に対応することはできないため、その際には後述するワイヤー矯正を検討することになります。
ワイヤー矯正との比較
以前からあるワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットという小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かす矯正法です。100年以上の歴史があり、矯正治療と聞いて多くの方がイメージするのはこのワイヤー矯正でしょう。
どうしてもマウスピース矯正より目立ちますし、ずっと装着するため歯磨きがしづらく、ワイヤーの交換のために毎月通院しなくてはなりませんが、適用範囲は広く、ほとんどの歯列不正に対応できるというメリットがあります。

目立つのが気になるという方には、歯の裏側にブラケットを装着する裏側矯正(舌側矯正)や、町田歯科ではクリアブラケット・ホワイトワイヤーという白色・透明のブラケットを使う方法もご用意していますから、お気軽にご相談いただければと思います。
このように、マウスピース矯正・ワイヤー矯正の双方にメリット・デメリットはあります。詳しくは、比べてみよう!マルチブラケット矯正とマウスピース矯正のコラムで解説しておりますので、どちらの矯正方法がご自身に合っているか、まずはチェックしてみるのも良いでしょう。
加速矯正(スピード矯正)
加速矯正は、歯の移動速度を早めることで、治療期間を短くする矯正治療のことを指します。上述のワイヤー矯正やマウスピース矯正と組み合わせることで、治療期間の短縮を図っていきます。
加速矯正には、光加速矯正や振動加速矯正、コルチコトミーなど、いくつかの方法がありますが、いずれも歯周組織(歯肉や歯槽骨など歯を支えている組織)を活性化させることで、歯の移動を早くすることを目的に行われるものです。
光加速矯正は、波長850nmの近赤外線の光を歯茎に当てることで細胞を活性化させ、歯の移動を早める方法で、振動加速矯正は、専用の器械で歯や顎の骨にわずかな振動を与えて、歯周組織の活性と骨の代謝を促します。これらは主にインビザラインなどのマウスピース矯正と併用されることが多い方法です。
一方のコルチコトミーは、歯根と歯根の間の骨に小さな切れ込みを入れ、自然治癒力を増幅させることで骨の代謝を促進し、通常より早く矯正を進める外科的な処置です。
ただし、加速矯正はすべての歯科医院で受けられる処置ではないため、興味のある方は、まずは問い合わせてみるのが良いでしょう。
部分矯正(MTM、LOT)
全体の噛み合わせに大きな問題がなく、前歯の軽いガタつきやすきっ歯など、部分的に歯並びを直せば良い場合に選択できる方法です。歯並び全体の矯正を行う場合と比べて治療期間が短く(数か月〜1年程度)、費用も抑えることができます。
部分矯正はMTM(Minor Tooth Movement)やLOT(Limited Orthdontic Treatment:限定的矯正治療)とも呼ばれ、1~数本程度の歯を短期間で移動させる治療のことを指します。より詳しくはMTMの利点をご存知ですか?のコラムで解説しておりますので、ご参考になさってください。
また、上述のインビザラインにも部分矯正用のインビザラインGOというラインアップがあります。興味のある方は、インビザラインGOで歯並びを整えるしくみのコラムを併せてご参照いただければと思います。
歯並び悪化を招く習慣を見直すことも大切

歯科医院での矯正治療とあわせて、普段の何気ない習慣を見直すことも歯並びの維持にとって大切です。
詳しくは前回の歯をも動かすお口の筋肉の力、歯並びへの影響を防ぐために…のコラムでお伝えしていますが、舌の正しい位置を意識したり、口呼吸をしない、頬づえや片側噛みを止めるなど、お口周りの筋肉が正しいバランスを保てるように心がけてください。
たとえば、無意識に舌で前歯を押してしまうなど、歯並びに悪影響を及ぼす舌癖(ぜつへき:舌のクセ)があると、それだけでも歯並びは乱れていきます。
また、頬づえや片側噛みは、片方の顎に負担をかけ続けるため、左右の歯にかかる力が均等にならず、顎の成長バランスが乱れたり、歯並びが左右非対称になったりします。
自分で歯並びを調整するのは絶対に止めましょう

今回お話ししたように、ご自分で歯並びを調整しようとするのは、歯の根っこが溶ける、歯肉が下がる、噛み合わせが崩れるなど、歯の寿命を縮めかねない大きなリスクを伴います。
手軽さや費用の安さに惹かれるかもしれませんが、結果的に歯並びを悪化させてしまい、治療期間や費用が余計にかかってしまうケースも少なくありません。
現在では、マウスピース矯正や部分矯正など、忙しくてなかなか時間が取れない方でも、通院頻度が少なく、短い期間で取り組める矯正治療が充実してきました。歯並びに関しては、決してご自身で処置しようとせず、まずは信頼できる歯科医院へ相談してください。
町田歯科では、日本矯正歯科学会の認定医が患者さん一人ひとりの歯並びを正確に見極めたうえで、綿密な治療計画に基づいた矯正治療を行います。歯並びが気になる方は、一人で悩まずに、町田駅すぐそばの町田歯科・矯正歯科へお気軽にご相談ください。










