歯周病は治療すれば完治すると思われがちですが、実はそう簡単に治る疾患ではありません。
一見すると治ったように見えても、しばらくすると「歯茎が腫れた」「出血する」などの症状が現れることも多く、再発リスクが高いことも歯周病の特徴です。
また、近年の研究によると、治療によって歯周病が改善したように見えても、口腔内細菌の状態は、健康な人と異なる可能性が高いことが明らかになってきました。
歯周病は治療した後、どうなるのでしょうか。また、治療後の口腔内にはどのような変化が起こるのでしょうか?今回は、そんな歯周病の治療後に気をつけたいポイントについて詳しく解説します。
歯周病は治療後にどうなる?
歯周病は治療によって症状が改善しても、ケアを怠ると再発しやすい疾患です。では、治療後の口腔内はどのような変化が起こっているのでしょう?以下で解説していきます。
症状がなくなっても安心とは限らない

治療によって歯茎の腫れや出血が改善されると「もう大丈夫、治った」と感じるかもしれません。しかし、歯周ポケットの奥には細菌が残っていることがあり、細菌が再び増加すると炎症が再発する可能性があります。
特に過去に重度の歯周病と診断された方は、歯周組織がダメージを受けているため、再発のリスクが高くなります。
歯周病治療ページでもお伝えしているように、歯周病はサイレント・キラー(静かな殺し屋)とも呼ばれ、初期の段階では自覚症状がほぼありません。症状がないからといって油断するのは禁物なのです。
研究で分かってきた「炎症の履歴」

出典:Institute of SCIENCE TOKYO 「歯周炎治療後も口腔内細菌叢に“炎症の履歴”が残存」
東京科学大学の研究で、歯周病治療後の歯茎の状態を詳しく分析した結果、炎症が改善した歯茎であっても、歯周病に関連する「細菌のネットワーク」が残っていることが明らかになりました。
これは、歯周病の症状が落ち着いたあとも、口腔内には「炎症の履歴」が残っている可能性を示唆しています。

例えるなら、火事は消えても再び燃え広がりやすい環境が残っている状態に近いでしょう。つまり、現状は問題がなくても、清掃状態の悪化や体調変化などをきっかけに、炎症が再発する可能性があるということです。
歯周病治療は「治療が終わったら終了」ではなく、「治療後の維持管理まで含めて治療」と考えることが大切です。
歯周病が再発しやすい理由
歯周病は生活習慣病の一つとも考えられています。原因となる細菌を完全にゼロにすることは難しく、毎日の生活習慣や体調、ケアの頻度によって状態は左右されてしまいます。
プラークは毎日作られる

歯周病の主な原因はプラーク(歯垢)です。プラークは食事をするたびに形成され、適切に除去しなければ細菌が増殖し、歯茎に炎症を引き起こします。
歯科医院でクリーニングを受けると、口腔内の隅々まできれいになりますが、残念ながらその状態が永久に続くわけではありません。数時間後には再びプラークが形成されてしまいます。

特に歯と歯の間や歯周ポケットの周辺は汚れが残りやすく、セルフケアだけでは十分に清掃できません。だからこそ、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアが必要になります。
歯を長持ちさせるセルフケアとプロフェッショナルケアのコラムでお伝えしたように、自宅でのセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアの両軸で、清潔な口腔内環境を維持しましょう。
加齢や全身状態も影響する

歯周病は細菌だけでなく、体の抵抗力とも関係しています。歯周病治療のページでもお話ししているように、加齢による免疫力の変化、糖尿病、喫煙、ストレス、睡眠不足などは歯周病のリスクを高めることが知られています。

特に、糖尿病と歯周病のコラムでお伝えしたとおり、糖尿病と歯周病は相互に影響し合う関係があり、血糖コントロールが悪いと、歯周病も悪化しやすくなります。また、年齢とともに唾液量が減少すると細菌が増えやすくなるため、歳を重ねると、若い頃と同じケアでは不十分になる場合もあります。
歯周病は単に歯茎の病気ではなく、全身の健康状態とも深く関係していることを理解しておきましょう。
歯周病の再発を防ぐためにできること
先ほどお話ししましたが、歯周病の再発予防には、自宅でのケアと歯科医院でのメインテナンスの両方が欠かせません。どちらか一方だけでは十分とはいえず、継続的な管理が重要になってきます。
毎日のセルフケアを見直す

歯磨きは歯周病予防の基本です。ただ、どんなに丁寧に磨いても限界があり、磨き残しは生じてしまいます。
そこで活躍するのがデンタルフロスや歯間ブラシなどの補助用具(※)です。歯ブラシだけでなく補助用具を併用することで、歯と歯の間の汚れもスッキリと除去しやすくなります。

また、歯磨きの回数だけでなく、ひとり一人の口腔内の状態に応じた正しい歯磨きの方法を身につけることも大切です。
町田歯科では、歯科衛生士によるTBI(Tooth Brushing Instruction:歯磨き指導)に加え、おすすめの歯ブラシや歯磨き粉もお伝えしますので、お気軽にご相談ください。
(※)デンタルフロスや歯間ブラシの種類や使い方については、デンタルフロスはどう使う?や、使っていますか?デンタルフロスや歯間ブラシのコラムを併せてご参照ください。
定期的なメインテナンスを受ける

定期的な歯のメインテナンスは、虫歯や歯周病予防にとても効果的です。
虫歯や歯周病の原因となる歯石や細菌の塊(バイオフィルム)を、専用機材によるスケーリングやPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)で除去できるほか、歯周ポケットの深さや出血の有無、歯の動揺などを確認することで、疾患の早期発見にもつながります。
歯のメインテナンスは「悪くなったから行く」のではなく、「悪くならないために行く」ことが目的です。数か月ごとの定期受診をしっかり続けることで、長期的に歯を守ることができるようになるでしょう。
歯周病は治療後の管理が大切

歯周病は治療によって症状を改善することができますが、健康だった頃の状態に戻るとは限りません。今回お伝えしたように、近年の研究では、歯周病の治療によって見た目は改善していても、口の中の細菌環境には過去に歯周病を発症した履歴が残っている可能性が示されています。
だからこそ、治療が終わったからといって安心するのではなく、その後の管理が重要になります。歯周病は再発しやすい病気ですが、毎日の丁寧なセルフケアと、歯科医院での定期的なメインテナンスを受けることで、再発のリスクを抑えられるようになるでしょう。
町田歯科・矯正歯科では、歯周病治療後も健康な口腔環境を長く維持できるよう、患者さん一人ひとりにぴったりの歯のメインテナンスも行っておりますので、気になる症状がある方は、町田駅すぐそばの町田歯科へお気軽にご相談ください。
参考文献








