「子どもの歯の表面に波のような線があるけど大丈夫?」
「うちの子の歯にある縞(しま)模様は虫歯の始まり?」
こんな風に心配になったことのある親御さんはいらっしゃいませんか?
生え変わったばかりのお子さんの歯をよく見ると、表面に波のような横線が入っていることがあります。

これは、周波条(しゅうはじょう)と呼ばれる歯の成長線です。木の年輪のように誰にでもできる自然な模様で、毎日の食事や歯磨きを重ねるうちに、やがて摩耗して目立たなくなっていきます。
しかし、なかには初期虫歯の白濁やエナメル質形成不全など、歯科医院での処置が必要なケースもあるので、まったく問題がないわけではありません。
そこで今回は、歯に波模様ができる理由や、自然な線と注意が必要な線の見分け方について解説していきます。
歯の表面が波模様に見える理由
歯の表面をよく見てみると、平坦ではなく、凸凹していたり、線のような模様が入っていたりします。これは、エナメル質が毎日少しずつ層を重ねるようにして作られるためです。
エナメル小柱(しょうちゅう)

画像出典:Visual Anatomy
エナメル小柱(しょうちゅう)とはエナメル質の基本構造で、エナメル質は、このエナメル小柱が幾重にも並ぶことによって作られています。
エナメル小柱は、ハイドロアパタイトの結晶で構成されており、その幅は4マイクロメートル(髪の毛の太さの約20分の1)、高さは8マイクロメートルほどで、鍵穴のような形をしています。
これが密に並んでいるため、歯は鉄より硬い?のコラムでお話ししたように、エナメル質は体の中で最も硬い組織になっているのです。
横紋(おうもん)
上述のエナメル小柱は、1日に約4マイクロメートルずつ伸びていき、その過程で横紋(おうもん)という直角の細かい成長線が刻まれます。
横紋は歯の有機質が多い部分で、光の透過度が低く、暗く見えます。
レチウスの並行条(へいこうじょう)

画像出典:Visual Anatomy
さらに、この横紋が数本から十数本ほど重なって、強く見られる箇所があります。これはレチウスの並行条(へいこうじょう)と呼ばれるやや太い縞(しま)模様の成長線で、7〜10日の周期で約20マイクロメートルごとにエナメル質へ刻まれます。
このように、歯は毎日少しずつ成長し、その成長のあとがエナメル質に刻まれ、結果的に波のような形をした線として現れるのです。
周波条(しゅうはじょう)・ペリキマタとは?

周波条(しゅうはじょう)とは、上でお話しした、レチウスの並行条がエナメル質の表面に到達してできた溝を指します。
より分かりやすくいうと、歯の表面にある横方向の微細な段差のことであり、英語ではペリキマタ(perikymata)と呼びます。
歯の表面にはこの段差による細かな凹凸があることで陰影が生まれ、単に平坦ではない自然な印象になります。セラミック治療などでは、この構造を模倣することで、本物の歯に近い仕上がりを実現しているんですね。
また、周波条の部分は、ほかの部位に比べてカルシウムやリンの濃度が低いことも特徴に挙げられます。
子どもの歯で目立ちやすい

永久歯が生えて間もない時期は、歯の表面が磨耗していないため、周波条(ペリキマタ)がはっきりと見えやすい状態になります。
子どもの歯で目立ちやすいため、不安に思われる保護者の方もいらっしゃいますが、心配はいりません。
食事や歯磨きなどで歯が使われることで、歯の表面が少しずつ摩耗し、周波条が目立たなくなってきます。成長とともに見えにくくなることがほとんどです。
乳歯に見られる新産線(しんさんせん)も自然な模様

周波条と同じように、新産線(しんさんせん)というエナメル質表面にできる線があります。
新産線は、出生前後の環境変化が歯の形成に反映されたものです。石灰化がやや弱く現れる線ですが、ほとんどの乳歯に見られるごく自然な現象であり、病気ではありません。

乳歯や、最初に生えてくる永久歯(第一大臼歯・6歳臼歯)によく見られ、1本だけ太く目立つ線として現れるのが特徴です。
ただし、まれに溝が深い場合は、虫歯の原因になることもあるため、気になるときは小児歯科で確認してもらうと安心です。
注意が必要な歯に現れる線や模様
ここまでは、病気などではなく、自然な理由で歯に線や模様が現れるメカニズムについてお話ししてきましたが、歯の表面にできる線や模様には、気をつけなければいけないものもあります。
エナメル質形成不全

歯の白いシミ、ホワイトスポットとは?や、ホワイトニングで「歯がまだらに白くなる」のはなぜ?のコラムでも解説しましたが、エナメル質形成不全とは、歯が形成される時に何らかの異常が起こり、エナメル質が正常に完成しなかった状態をいいます。
周波条は自然な凹凸ですが、エナメル質形成不全は歯の一部が黄色っぽく変色していたり、くぼみができることがあります。
エナメル質形成不全の部分はエナメル質が薄く、脆いために虫歯になりやすいので、早めに歯科医院を受診してフッ素を塗布してもらうなどの処置を受けるのが良いでしょう。
初期虫歯の白濁

お子さんの歯に白い斑点や帯状の白い濁りが見える場合は、初期虫歯による脱灰(だっかい)の可能性があります。
虫歯治療のページでも解説していますが、脱灰とは、虫歯菌が出す酸によって、歯のエナメル質からカルシウムやリンが溶け出し始めた状態のことです。
ただ、虫歯の初期段階であれば、正しい歯磨きやフッ素塗布によって再石灰化を促すことで、進行を食い止められる可能性もありますので、まずは歯科医院で相談してください。
歯のひび

外傷で歯を傷つけてしまった場合、歯にひびが入る場合があります。
このとき、歯の表面に薄い線が縦に入ることがあり、放っておくと、ひびの隙間から細菌が入り込んで症状が悪化する恐れもあります。歯を傷つけてしまった際は、早めに歯科医院を受診しましょう。
着色汚れ(ステイン)

お茶やジュースなど色の濃い飲み物を日常的に飲んでいると、歯の表面に着色汚れ(ステイン)がつくことがあります。
着色汚れは歯の構造に由来するものではなく、外側から付着した汚れです。歯のクリーニングできれいに落とせますので、ステインが気になる場合は、かかりつけの歯科医院にお伝えください。
波のような線は歯が育っている証拠

今回お伝えしたように、お子さんの歯の表面に見える波のような模様の多くは、周波条(ペリキマタ)と呼ばれる自然な成長線です。歯が作られる過程で刻まれるものであり、病的なものではありません。
ただ、歯の表面に現れる線のなかには、初期虫歯による脱灰やエナメル質形成不全など、放置すると悪化してしまうケースがあることには注意が必要です。
大切なお子さんの歯が健康に育つように、町田歯科はしっかりとサポートいたします。もし、「歯の一部だけ色が違う」「線が深くて虫歯かもしれない」など、お子さんの歯で気になる点がある場合は、町田駅すぐそばの町田歯科へお気軽にご相談ください。
参考文献
- 成長線の諸問題について:https://www.kasekiken.jp/kaishi/kaishi_27(1)/kasekiken_27(1)_1-6.pdf
- エナメル質の横紋形成メカニズムの解明:https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001204588683776








