現代の歯科治療では、虫歯で穴が開いたり、ケガで欠けた歯の一部分を人工材料で埋めたり、補ったりして治す修復治療が行われます。
もちろん町田歯科では、しっかりとしたカウンセリングのうえ、患者さん一人一人のご要望に合った治療を行いますが、保険診療の場合は、銀歯など審美性はさほど考慮しない歯科材料が使用されるので、仕上がりはどうしても不自然になってしまいます。
患者さんによっては、「より自然な仕上がりがいい」「治療するなら綺麗な白い歯に仕上げてほしい」といったご要望をいただくことも大変多く、そのような自然で綺麗な仕上がりを求める方におすすめなのが、セラミックです。
詰めもの・被せもののページでも解説していますが、セラミックには、仕上がりの良さ以外にも、数多くの利点があります。今回は、そんなセラミック治療の特長や種類についてお話しします。町田歯科・矯正歯科の院長 成田は、セラミックに関して共著の論文(「オールセラミックス補綴装置の歯周補綴への応用-精密な適合を得るうえでのMAD/MAM使用のメリットと活用法」)も発表しています。
セラミック治療の特長
天然歯と変わらない自然感
歯の最も外側のエナメル質は半透明の白色ですので、歯は光沢感を持っています。セラミック材料で治療を行うと、透明感のある白さが得られます。この透明感がポイントで、エナメル質の光沢感を再現するのに欠かせません。
保険診療で使用する歯の色に似た素材の代表は、コンポジットレジンというプラスチック材料です。残念ながらこちらには透明感がないので、色こそ白色ですが、自然な白さを再現できず、光沢感も乏しいため、どうしても人工物の白さという印象が拭えません。
自然な印象で、他の歯と同じような仕上がりが得られるのは、セラミックの優れた特長です。
変色がない
セラミック材料は、変色することがありません。いつまでも光沢感も白さも同じです。着色汚れがつくことはありますが、それを取り除けば元の色にすぐに戻ります。
一方、コンポジットレジンは、時間が経つと、黄色みがかってくるようになります。これは、コンポジットレジンの粒子の隙間に水分が入ったり、プラスチック成分が紫外線を受けて構造が変化したりするからです。
セラミックはとても安定した材料なので、このような変化が生じないのです。変色しないのも、セラミックの利点と言えるでしょう。
歯肉変色のリスクがない
冒頭でもお伝えしましたが、保険診療での被せものの代表は銀歯です。銀歯はどうしても見た目が良くないだけでなく、銀歯から金属イオンが溶け出して、歯肉に黒ずんだ着色症状をもたらすことがあります。
セラミックなら、金属ではないので金属イオンが歯肉に溶け出すことはありませんから、歯肉変色の原因になりません。
プラークがつきにくい
虫歯や歯周病の原因となる細菌は、プラークの中に存在にしています。プラークを取り除くことが重要視されるのはこれが理由です。詳しくは、歯を長持ちさせるセルフケアとプロフェッショナルケアのコラムでも取り上げていますので、ご参考になさってください。
コンポジットレジンや銀歯の表面は、プラークがつきやすい傾向があります。一方、セラミック材料の表面は、とても滑らかなうえ、傷もつきにくいため、プラークが付着しにくくなっています。
虫歯や歯周病になりにくいなど、歯の健康の面でもセラミック材料は優れた特長があります。
金属アレルギーを起こさない
歯科用の金属材料にアレルギーがあると、口内炎や舌炎といったお口の粘膜の炎症だけでなく、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう:水ぶくれや膿みなどを持った膿疱ができる症状)など、皮膚科の病気の原因になることがあります。
上述のとおり、セラミックは金属ではないので、金属アレルギーの原因にならないのです。
セラミック治療の種類
セラミックを使った治療法には、様々な種類があります。治療に用いる各種素材については、詰めもの・被せもののページでも解説していますので、併せてご参照ください。
オールセラミッククラウン
オールセラミッククラウンは、文字通りセラミック材料だけで作られた被せもの(クラウン)です。主なオールセラミッククラウンとしては、ジルコニア・オールセラミッククラウンとE-maxが挙げられます。
ジルコニア・オールセラミッククラウン
ジルコニアとは、人工ダイヤモンドと呼ばれるほど強度の高いセラミック材料です。ジルコニア・オールセラミッククラウンは、ジルコニアを内面に、その外層にポーセレンというセラミック材料を組み合わせた被せものです。
最近では、ジルコニアの進歩により、ジルコニア単体のセラミッククラウンも開発されています。次に紹介する陶材焼付鋳造冠(とうざいやきつけちゅうぞうかん)より透明度が高く、より自然な仕上がりとなるのがメリットです。
E-max
E-maxは、二ケイ酸リチウムガラスセラミックというセラミック材料で作られたセラミッククラウンです。ガラス系のセラミック材料ということで透明度が高く、強度も歯に近い点に特徴がありますが、ジルコニアと違い、ブリッジなどの大きな被せものには使えません。
メタルボンド・陶材焼付鋳造冠(とうざいやきつけちゅうぞうかん)
セラミッククラウンに使うポーセレンというセラミック材料は、強度が弱く破損しやすいのが弱点であるとお伝えしましたが、メタルボンドとも呼ばれる陶材焼付鋳造冠(とうざいやきつけちゅうぞうかん)は、ポーセレンの内側を金属で補強し、割れにくくしたセラミッククラウンです。
オールセラミッククラウンが登場するまで、セラミッククラウンの主流でした。内側に金属材料を使っていますが、セラミックで隠されているので、金属部分はほとんど目立ちません。
セラミックインレー
インレーは、小ぶりの詰めものです。主に奥歯の表面の溝やくぼみなど、一部分だけに生じた虫歯治療に使われます。
小さな詰めものなのですが、保険診療では金属材料が主流であるため、仕上がりの不自然さは拭えません。
そこで、金属材料の代わりにセラミック材料で作られたのがセラミックインレーです。どの部分に詰めたのかわからないほどの自然な仕上がりが得られます。
ポーセレン・ラミネートベニア
ポーセレン・ラミネートベニアは、前歯の色合いや形を整えるために、前歯の表面に薄いポーセレンを貼り付けるセラミック治療です。
エナメル質を0.5ミリほど削るだけなので、歯がしみることはありません。ただし、接着力を確保するために削る部分はエナメル質である必要がありますし、噛み合わせが加わると保持できないので、噛み合わせが当たる箇所には使えないのが難点です。
虫歯治療ではなく、前歯の変色歯や矮小歯(わいしょうし)という歯の奇形の改善などに適用があります。
より綺麗な仕上がりを求めるならセラミック治療を
今回は、審美治療の代表とも言えるセラミック治療についてお話ししました。再度メリットをまとめますと、
- 天然歯と変わらない自然感
- 変色しない
- 歯肉変色のリスクがない
- プラークがつきにくい
- 金属アレルギーを起こさない
など、多くの点が挙げられます。この利点を活かしつつ、患者さん一人一人のご要望に合った素材を活用し、治療を行います。
町田歯科では、セラミック材料の利点を活かし、より自然な仕上がりが得られる治療に取り組んでいます。他の歯と同じように違和感がなく、仕上がりも綺麗な歯科治療をご検討なら、町田歯科にぜひご相談ください。