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歯の治療全般

寝ている時の歯を守るマウスピース(ナイトガード)

寝ている時、歯ぎしりや食いしばりを起こす方は、歯科医院で「マウスピースを作りましょう」と言われたことがあるのではないでしょうか。

歯ぎしりや食いしばりは“クセ”の一種で、寝ている時に起こるため改善できず、上手に付き合うしかありません。就寝時の咬み合わせる力は通常の3〜4倍になると言われており、この強い力から歯を守るためにマウスピース(ナイトガード)の使用を勧めるのですが、マウスピースにはそれだけでなく、歯や顎にとって様々なメリットもあります。

今回は、咬み合わせが歯や顎に与える影響や、マウスピースの効果についてご紹介します。

歯ぎしりや食いしばりを緩和するマウスピース

歯ぎしりや食いしばりの原因とリスク

歯ぎしりや食いしばりの原因

以前、歯ぎしりや食いしばりの原因と影響のコラムでも解説しましたが、歯ぎしりや食いしばりが起きる理由には、日頃の疲れやストレス、心理的要因などがあり、咬み合わせもその一つです。咬み合わせのバランスが崩れていると、それを整えようと歯を擦り減らしたり、押し込めたりするため、歯ぎしりや食いしばりが起きるのです。

同様の反応は大人だけでなく、小さなお子さんでも見られることが多く、乳歯の咬み合わせによって程度も異なります。

咬み合わせのバランスを整えなければ、習癖(しゅうへき:クセのこと)によるリスクは高まるので、歯を守るためには、ある程度の強度があるマウスピース(ナイトガード)を就寝時に装着する必要があります。

また、歯ぎしりや食いしばりによって筋肉が強い力で働くと、顎にも影響が及び、痛みや音が鳴るといった顎関節症につながるリスクも高まります。

顎関節は咬み合わせの出発点とも呼べる重要な構造のため、不調になってくると、歯はもちろん、食事など日常生活に支障をきたすこともあるので、顎を守るためにもマウスピースの使用が大切なのです。

マウスピースの種類って?

患者さんからもご質問をいただくので、少しマウスピースについて解説しましょう。今回取り上げている、就寝時の歯ぎしりや食いしばりを防止するためのマウスピースは、正式名称を「ナイトガード」といいます。

それとは異なり、矯正歯科のページでもご説明しているインビザラインなどのマウスピースは、文字通り歯列矯正用であり、「アライナー」と呼ばれます。他にも顎関節症用のマウスピースは「スタビライゼーションスプリント」という呼び方もします。

一言で「マウスピース」といっても、実は用途や特性により、様々な種類があるんですね。

歯ぎしりや食いしばりを見つけるポイント

さて、歯ぎしりや食いしばりの様々な種類については、歯ぎしりや食いしばりの種類と治療法のコラムでご説明しましたが、就寝時に起こる歯ぎしりや食いしばりに関して言うと、以下のような症状が挙げられます。

  1. 夜中に歯や顎が痛くて目が覚める
  2. 朝起きた時に頬や首周りに痛みや張りを感じる
  3. 舌の両端に歯の圧痕(あっこん:圧がかかったような跡)がついている
  4. 頬の内側に白い筋が見られる
  5. 無呼吸症候群を患っている

痛みはともかく、顔回りや首回りの張り程度であれば、見過ごされてしまうことも多く、気になった際には整体や接骨院を訪ねる方もいます。

この場合、筋肉の張りは軽減されますが、歯ぎしりや食いしばり自体を解消しているわけではないので、繰り返し症状に悩まされることが多いのです。

通常より強い力のかかる歯ぎしりや食いしばりですが、特に歯ぎしりでは、場合によって歯が欠けたり、折れたりするリスクが高く、折れ方によっては、虫歯ではない正常な歯を抜かなければならないケースも出てきます。

毎日の歯磨きで清潔にしている歯をより長く、より健康に保つために、歯にかかる力のバランスをコントロールすることが重要です。

マウスピース治療のメリット

マウスピース治療のメリット

一般的に、咬み合わせのバランスを整える方法として、矯正治療、咬合(こうごう)調整、そしてマウスピース治療が挙げられます。

ナイトガードによるマウスピース治療は、他の2つの方法と違い、型取りしてマウスピースを製作するという工程なので、比較的シンプルかつ安価に行えます。矯正治療のように、咬み合わせを直接的に治しているわけではないので、対症療法ではありますが、歯ぎしりや食いしばりにアプローチするなら十分な治療と言えます。

症状の例でも触れましたが、咬み合わせのバランスが崩れると、首や肩の張りや凝りが生じやすいと言われており、この際、適切なマウスピースをお使いいただくことで、頭頸部の筋肉のバランスを整えることができます。

ナイトガードはある程度硬さを持った設計にすることで、破損を防ぎ、歯ぎしり時の擦り減りを予防できます。多くの症状に対応できる簡便な方法として、ぜひ覚えておいていただければと思います。

マウスピース治療の注意点

簡便な治療法で、手軽さやコスト面でのメリットは多いものの、先述のとおり、マウスピース治療は対症療法のため、症状が繰り返し出てしまうことがあります。また、硬さを持った設計の場合、厚みのあるマウスピースになりますので、慣れるまで寝ずらかったり、ストレスを感じる方もいらっしゃいます。「ついつい寝ている時に無意識で外してしまっている」といった声があるのもそのためです。

歯ぎしりや食いしばりの治療には、一般的にナイトガードはハードタイプ(硬いタイプ)が良いとされています。しかし初めてナイトガードを使う患者さんにとって、違和感があったり、使いづらい場合も多いので、町田歯科ではソフトタイプのナイトガードを用意することもあります。お気軽にご相談ください。

治療法にはメリット・デメリットが必ず存在しますので、症状の程度や日常生活への支障などを勘案し、どのような方針で行うかを検討しましょう。

歯ぎしりや食いしばりを治して快適な日常生活を

歯ぎしりや食いしばりを治して快適な日常生活を

歯や顎の痛みは、食事や会話など日常生活に支障をきたすことが多く、ともするとQOLが低下してしまいます。毎日のセルフケアはもちろんですが、歯や顎への負担を減らし、かかる力のバランスを整えることは、歯を長持ちさせるためにも大切なことです。

咬み合わせは、患者さん自身では対処が難しいため、歯科医院での管理が必要になります。以前から顎関節症や歯ぎしり・食いしばりにお気づきの方はもちろん、自覚症状のない方も、歯を健康に使い続けるために定期的な歯のメインテナンスと通院を心がけてください。

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