つい、頬の内側を噛んでしまう
口の中を間違って噛んでしまい、痛い思いをした経験はどなたにもありますよね。舌を噛んでしまうとかなり痛いですが、それ以外にも、頬の内側を噛んでしまい、辛い思いをした方も多いのではないでしょうか。
もちろん、誤って少し噛んでしまっただけならば問題ありませんが、歯列不正(しれつふせい:悪い歯並びのこと)や歯周病など、歯が原因になっていることもあります。
また、入れ歯や被せものなどの歯科治療後に、噛むことが増えたというケースもあるかもしれません。このような場合は注意が必要です。
頬を噛んでしまった場合は…
頬を噛むと一時的に血豆ができることがあります。血豆ができなくても頬が腫れてしまい、痛みを伴うことが多いでしょう。
そして、頬が腫れてしまうために、余計に頬を噛んでしまうことがあります。繰り返し噛んでしまうと、食事が摂りにくい状態になることもあるので、注意してください。
一般的には、よほどの傷がない限りは経過観察でも良いのですが、場合によっては消毒したり、塗り薬を処方します。また、痛みを落ち着かせるために、噛んで傷になった部位にレーザー照射を行うこともあります。
ご自身でできることは、「なるべく刺激を加えず、再び噛まないよう気をつける」といったことに限られてしまうので、やはり痛みが強い場合は、きちんと歯科医院で確認してもらうようにしましょう。
頬を噛んでしまう原因と対処法
では、ここからは頬を噛んでしまう原因と対処法についてお話しします。誤って嚙んでしまう場合を除くと、頬を噛んでしまう理由は、大きく分けて以下のようなものが挙げられます。
- 体調不良や肥満
- 加齢
- 顎の不調
- 歯科治療後の口内環境の変化
歯科の分野で注意すべきは2番目以降ですが、それぞれを細かく見ていきましょう。
体調不良や肥満
体調不良やストレスは、頬を噛んでしまう原因になります。特に神経障害が起こると、平時よりも頬を噛む頻度が増えることがあります。ただ、これらは一時的なものなので、しっかりと休息を取り、栄養を補うことで改善が見込めます。
また、肥満も頬を噛みやすくなる原因の一つです。後述する加齢でも頬の肉が弛みますが、肥満によっても頬の肉が弛んでしまい、歯で噛みやすくなってしまうのです。急激な体重変化は起こらないので、どちらかというと、徐々に頬を噛むようになってきます。体重の増加が気になる場合は、減量を心がけましょう。
加齢
加齢による変化は、残念ながら起こります。顔にシワやシミが増えるのと同様に、頬にも変化が出てくるのです。
頬の筋肉が弛むと、歯が接触しやすくなるため、噛んでしまうことが増えてきます。弛みが大きくならないように、お口を大きく動かすといったストレッチや、マッサージをするのも良いでしょう。
また、加齢によって徐々に歯はすり減っていきます。歯がすり減ると、今まで噛んでいた位置よりも少し深く噛むようになります。このように、噛む位置が徐々に変わっていくと、頬を噛む頻度も増えてしまうのです。
顎の不調
顎の不調は、開閉がスムーズにできなかったり、顎の位置がずれたりすることで生じます。顎がずれた位置で噛むと、頬を巻き込んでしまうことがあり、結果として頬を噛んでしまうのです。
顎関節症などがある場合は、治療によって改善することがあります。詳しくは顎関節症治療のページで解説していますが、オーダーメイドのマウスピースを作成して治療を行います。顎の痛みが強い場合には、薬を処方することもあります。
歯科治療後の口内環境の変化
今まではどちらかというとご本人の状態に左右されるものでした。ただ、中には歯科治療後に頬を噛むようになってしまうケースもあります。例えば、入れ歯を修理・新調した場合、詰めものや被せものを入れた後に生じる場合などが該当します。
一般的に、歯と歯の噛み合わせは、上の歯が下の歯に覆い被さる形になっています。しかし、治療後に上下の歯のバランスが変わり、覆い被さる量が少なくなると、その部位に頬を巻き込むようになることがあるのです。
頬を巻き込むようになると、やはり頬を噛みやすくなります。一時的な場合もありますが、長期間にわたってその症状が続く場合には、入れ歯を調整したり、歯を再治療するなどの処置が必要になります。
頬を噛むくらい…とは考えないで
頬を噛んでしまう理由には様々なものがあります。もちろん、誤って噛んでしまった場合はそれほど気にする必要はありませんし、特に問題がなければ自然治癒します。
ただし、今回お伝えしたような他の原因があって頬を噛んでいるケースもあります。加齢や顎の不調、歯科治療などによって歯の状態が変わると、歯並びのバランスが崩れ、頬を噛んでしまう場合もあるのです。
このような時は、きちんと歯科医院に相談するようにしてください。もちろん、町田歯科では綿密なカウンセリングを通じ、患者さん一人一人の状況をしっかりと把握したうえで処置を行います。最近どうも頬を噛むことが増えたとお感じになる方も、お気軽にご相談いただければと思います。