「ご自分の歯に、一体いくらくらいの価値があるかご存じですか?」
そう聞かれて、すぐに答えられる方は少ないかもしれません。普段、私たちは歯を当たり前の存在として捉え、歯の価値について深く考えることは、あまりないでしょう。
しかし、実は私たちの歯には驚くほどの価値があります。今回は、具体的な数字を交えながら、普段意識することのない歯の資産的な価値について一緒に考えてみましょう。
歯の価値ってどれくらい?
「歯の資産価値」と聞くと、皆さんはどれくらいの金額を想像しますか?ここでは、様々な立場の人々が考える歯の価値や実際の裁判例などを参考に、その金額を具体的に見ていきましょう。
一般の方が思う歯の価値

一般財団法人日本予防医学協会が実施したアンケート調査によると、一般の方々が考える歯1本あたりの価値は、平均で約35万円だったそうです。
通常、歯は全部で28本(親知らずを除く)ありますから、単純計算すると、お口の中全体の価値は35万円×28本=980万円ということになります。もしこれが現金だったら…と考えると、かなりの資産と言えるのではないでしょうか。
歯科医師が考える歯の価値

では、歯の専門家である歯科医師は、歯の価値をどのように評価しているのでしょうか?
ある調査によると歯1本あたり約104万円の価値があると考えているようです。この金額で計算すると、お口の中全体の価値は、なんと2,912万円にもなります。
歯学部の学生が考える歯の価値

歯科医師の卵である歯学部の学生の思う歯の価値はどうでしょうか。
松本歯科大学が2010年に行った調査では、歯学部1年生の時点では、歯全体の価値を約550万円と考えていた学生たちが、6年生になる頃には約2,000万円と評価するようになったそうです。
歯のことを学ぶにつれて、歯の大切さがわかり、それに伴って歯の価値が高まっていったと考えられます。
アメリカ人が考える歯の価値は?

今度は国外と比較してみましょう。日本では一般の方々が歯1本を約35万円と評価しているのに対し、アメリカ人はどう計算しているのでしょう?
なんと、アメリカ人の多くは、歯1本あたり約500万円もの価値があると考えているそうです。これは、日本の歯科医師が考える価値よりも、はるかに高い評価です。
アメリカでは日本と異なり、基本的に保健診療がありませんし、海外では歯を失っていたり、歯並びが悪いと、貧困層とみなされてしまうこともあります。そのため、歯の価値は日本以上に高く評価されるのでしょう。
ちなみに、歯が1本500万円の価値があるとすると、28本あれば1億4,000万円になります。文字通り億万長者ですね。
裁判で認定された歯の価値

ここまでは、アンケート調査などによる価値評価を見てきました。では、客観的な指標となる、法律上の価値はどうでしょうか。
法律上、歯が1本いくらと書かれているわけではありませんが、裁判での判例で歯の価格が出たことがあります。それは、交通事故で歯を失った方に対する損害賠償額です。
この裁判では、歯の損害賠償額を歯1本あたり80万円とする判例が出されたそうです。もし、歯1本が80万円なら、28本で2,240万円と、こちらも高額になりますね。
年齢とともに変化する?歯の価値の推移
「歯の資産価値」は、生涯を通じて一定ではありません。年齢やお口の中の状態によって、その価値は変化していきます。ここでは、厚生労働省の調査データなどをもとに、歯の価値がどのように推移していくのかを見ていきましょう。
歯の寿命はどれくらい?

厚生労働省が実施している歯科疾患実態調査には、歯の平均寿命に関するデータが掲載されています。
この調査によると、最も寿命が長いのは犬歯で平均約65年です。一方、最も寿命が短いのは下顎の第二大臼歯(奥歯)で平均約50年となっています。
もちろん、もっと長持ちする人もいれば、もっと早い時期に抜けてしまう人もいますが、歯によって差がありますが、歯の寿命は平均すると50~65年ほどのようです。
永久歯が生える年齢を考えると、60歳をすぎるあたりから歯が寿命を迎え始めるので、皆さんが持っている歯の資産価値は、平均的には60歳ごろがピークと言えるのかもしれません。
年齢とともに歯を失う人の割合は?
同じく厚生労働省の令和4年の歯科疾患実態調査では、1本でも永久歯を失った人(喪失歯のある人)の割合についても調べられています(対象年齢は15歳以上)。

調査結果によると15歳以上の全体で、約6割の方が永久歯を失っています。(調査資料14ページ「喪失歯の状況とその補綴状況」参照)
年齢別に詳しく見ていくと、24歳までは歯を失っている人の割合は数%程度と低いものの、年齢が上がるにつれて徐々に増加していきます。
特に、55歳を超えると1本でも歯がない方の割合が50%を超え、65歳以上では80%以上、75歳以上では90%以上と、非常に高い割合で歯が失われていることが分かります。
これらのデータからも、年齢とともに歯の資産価値が減少していく傾向にあることが読み取れます。
歯の資産価値を保つためには予防が大切
歯の金額をいくらと見るかは別として、歯という大切な資産を長く保つためにはどうすれば良いのでしょうか。
2018年に8020推進財団が行った調査によりますと、歯を失う原因のトップは歯周病(約40%)、次いで虫歯(約30%)だったそうです。

見方を変えれば、歯周病や虫歯を予防すれば、歯の資産価値を長く保つことができるわけです。虫歯や歯周病の予防には、町田歯科ブログでも再三お伝えしているセルフケアとプロフェッショナルケアの併用が大切です。
セルフケア

セルフケアは、ご自身で毎日取り組んでいただく歯のケアです。
基本となるのは、やはり毎日の正しい歯磨きです。何かを食べたら歯を磨く習慣を、そして、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやデンタルフロスも使って歯と歯の間まで磨く習慣を身につけましょう。
また、虫歯予防にはフッ化物(フッ素)の歴史のコラムでもご紹介したフッ素がとても効果的なので、フッ素入り歯磨き粉を使って歯を磨いたり、フッ素入り洗口液を定期的に使うなどもおすすめです。
プロフェッショナルケア

プロフェッショナルケアは、歯科医院で受けていただく歯のケアです。
毎日の歯磨きをいくら丁寧に行っても、どうしても磨き残しが生じてしまいます。また、歯の表面にこびりついている歯石は歯ブラシでは除去できません。
そこで、歯科医院で定期的に歯のケアを受けて、PTMC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)によって、歯科の専用機材で磨き残しや歯石を取り除き、きれいな歯にすることが大切です。
フッ素塗布を受けるのもおすすめですし、毎日の歯磨きをより効果的にするために、TBI(Tooth Brushing Instruction)によって正しい歯磨き方法を指導してもらったり、使いやすい歯磨きグッズを教えてもらうのも良いですね。
健康な歯は、かけがえのない財産

今回は、数字で見る歯の資産価値についてお話ししました。「資産」と聞くと、預金、株、債券といった金融資産をイメージしがちですが、本当に大切な資産は、やはり「健康」ではないでしょうか。
どんなにお金があっても、健康を損なってしまっては、そのお金を十分に活用することはできません。美味しい食事を楽しむことも、旅行に出かけることも、健康な体があってこそです。
歯が健康でなければ、しっかりと食べ物を噛むことができず、栄養を十分に摂取することが難しくなります。栄養不足は全身の健康状態を悪化させ、様々な病気を引き起こすリスクを高めます。
このように考えると、歯の資産価値は、数字以上に計り知れない価値を持っていると言えるのではないでしょうか。

町田歯科では、歯の持つ価値はとても大きいと考え、一本一本の歯を大切にし、できる限り長く健康な状態を保てるよう、治療に取り組んでいます。
また、提携医院である成増さくら歯科の歯科医院のメンテは、仕事よりコスパ・タイパが良いのコラムでも、歯の資産価値ついて掲載しておりますので、興味のある方は併せてご参照ください。
「いつまでも自分の歯で美味しく食事を楽しみたい」「健康な歯を長く維持したい」。そうお考えの皆様は、ぜひ一度町田歯科にご相談ください。