歯並びの矯正のために歯の間にすき間を作ることがある…そう聞いたら皆さんはどう思いますか?
「矯正で歯をきれいに並べるのが目的なのに、どうしてすき間を作るの?」と疑問を感じますよね。
今回のテーマである歯間分離(しかんぶんり:セパレーション)とは、奥歯に「バンド」という金属の輪をはめるために、歯と歯の間へ一時的にすき間を作る処置のことです。歯を削ったりするのではなく、小さなゴムやワイヤーの力で歯を動かしてすき間を作ります。
今回のコラムでは、そんな歯間分離(セパレーション)を行う理由や、すき間の作り方、装置が入っている間の注意点などについて解説します。
歯間分離(セパレーション)とは歯の間にすき間を作る処置

矯正治療には、以前からある金具(ブラケット)とワイヤーを使うワイヤー矯正と、近年人気のインビザラインなどのマウスピース矯正があります(※)。今回のテーマである歯間分離(セパレーション)は、ワイヤー矯正の方に関係します。
ワイヤー矯正では、奥歯に強い力をかける装置を使う時や、被せものがあってブラケットがつきにくい時に、奥歯に「バンド(帯環)」という金属の輪をはめることがあります。

バンドの例(画像出典:エンビスタジャパン株式会社)
しかし、このバンドは歯をぐるりと囲む形をしているため、歯と歯がぴったり接していると入りません。
そのため、歯と歯が密接していて、バンドを入れにくい場合に、あらかじめ歯と歯の間を離しておく必要があります。この処置を歯間分離(セパレーション)といいます。
また、歯間分離(セパレーション)の際によく使われるゴムが青いため、「青ゴム」と呼ぶ方もいます。呼び方は複数ありますが、くっついている歯と歯をほんの少し離す処置だと考えてください。
(※)ワイヤー矯正とマウスピース矯正の比較については、比べてみよう!マルチブラケット矯正とマウスピース矯正のコラムで詳しく解説しておりますので、興味のある方は併せてご参考になさってください。
歯間分離ですき間を作る3つの方法
実際のすき間の作り方としては、歯と歯の接し方や通院の間隔によって、ゴム・真鍮線・スプリングなどのセパレーター(歯間分離・セパレーションのための器具)を使い分けます。
セパレーションリングを挟む

画像出典:FEEDデンタル
いちばんよく使われるのが、セパレーションリング(セパレーションゴム)という直径5mmほどの小さな輪ゴムです。エラスティックセパレーターとも呼ばれます。
プライヤーという器具でセパレーションリングを奥歯と奥歯の間に挟み込み、縮んだゴムが元に戻ろうとする力を利用して、歯が少しずつ離れていくようにします。
1か所あたり10秒ほどで終わるので、何か所か入れる場合でも時間はかかりません。装着から2日〜1週間ほどで、バンドを入れられるだけのすき間ができるようになります。
ゴム製なので痛みが出にくいのがメリットですが、外れやすく、歯の状態によってはちぎれてしまうこともあります。
真鍮線を通す
直径0.5mmほどのやわらかい真鍮線を歯と歯の間に通して固定する方法です。金属タイプのセパレーターで、ゴムが入らないほど歯と歯が接している場合や、ゴムが切れてしまう場合に選ばれます。
外れにくく、ちぎれてしまうこともないので、次の通院まで日があるときにも使えます。ただし、ゴムより痛みや締めつけられる感覚は強くなります。
スプリングをかける

ステンレスなどでできた金属のバネの弾力で歯と歯を離す方法です。歯の密着度が強い場所でもすき間を作りやすく、短い期間で必要な幅を確保できるという特長があります。
ただし、装置がやや大きいので、噛み合う相手の歯に当たりやすいのが難点です。どれを使うかは、歯の状態を見たうえで担当医が決めます。
歯間分離(セパレーション)を受けている間の注意点
歯間分離そのものは、数分で終わる小さな処置です。ただし、入れている数日間は食事と歯磨きに気をつける必要があります。痛みへの備えとあわせて、注意したいことについて見ていきましょう。
違和感や痛みが出る

歯と歯を離すのは、歯を動かすことでもあります。入れてから数日は、噛んだ時に押されるような感覚や鈍い痛みが出ます。
装置をつけた後の痛みは、子どもで2〜3日、大人で1週間ほど続きますが、徐々に落ち着いてきます。ただ、どうしても痛みが強い時や長引く時は、必要に応じて痛み止めを処方することもあります。
粘着性のある食べ物は控える

お餅やガム、キャラメルのような粘りのある食べ物は、ゴムを引っ張って外してしまう原因になります。歯間分離(セパレーション)を受けている間は控えてください。
また、硬い食べ物も痛みを感じやすくなります。やわらかく煮た料理や麺類など、噛む負担の少ない食べ物を選ぶようにしましょう。
該当箇所のデンタルフロスと歯間ブラシは休む

デンタルフロスや歯間ブラシは、歯と歯の間に差し入れて使う道具のため、セパレーターが引っかかり、外れてしまう恐れがあります。歯間分離(セパレーション)を行っている部分では使用しないようにしてください。
ただし、歯磨きはきちんと続けてください。矯正装置がついていると食べ物がたまりやすく、磨きにくくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。もちろん、装置が入っていない他の歯では、デンタルフロスや歯間ブラシをこれまでどおり使って構いません。
外れたら自分で戻さず歯科医院へ連絡する

セパレーションリングは自然に取れてしまうこともあります。
たとえ外れてしまっても、その時点ですき間ができていれば再装着は必要ないこともありますが、すき間が不十分ならもう一度付け直さなくてはなりません。
外れた時は、自分で戻そうとせず歯科医院へ連絡し、指示を受けましょう。飲み込んでしまった時も、同じようにまずは歯科医院へ連絡するようにしてください。
歯間分離(セパレーション)は矯正治療のために必要な準備

今回は、歯と歯の間へ一時的にすき間を作る歯間分離(セパレーション)について解説しました。矯正治療のために歯と歯の間にすき間を作ると聞いて疑問に思われた方も、ご理解いただけたのではないでしょうか。
矯正治療は、長期間にわたることも多いため、一つひとつの処置の意味を確かめながら、患者さんがご納得いただいたうえで治療を進めていくことが大切です。 歯間分離の痛みや違和感が気になる方や、これから矯正治療を始めるにあたって不安がある方も、お気軽に町田駅すぐそばの町田歯科・矯正歯科へお問い合わせください。








