「虫歯が一本もないから歯は大丈夫」そう自信を持っている方こそ注意してください。虫歯の痛みがないことを理由に、歯科医院へ行かないという習慣が、思わぬ落とし穴になることがあります。
実は、歯医者と縁がない方に限って歯周病が進行しているケースが少なくありません。歯周病は自覚症状がほとんどないまま静かに進行するため、気づいたときには手遅れになることもあるのです。
今回は、虫歯と歯周病の違いや、気づきにくい初期症状のサイン、そして「痛みがなくても歯医者に行くべき理由」について解説します。
虫歯と歯周病の違い
虫歯と歯周病の原因は違う

虫歯と歯周病の決定的な違いをご存じでしょうか?この2つは、原因となる細菌も症状も異なる全く別の病気なのです。
虫歯は、甘いものに含まれる糖質をエサに、虫歯菌が作り出す酸によって歯が溶ける疾患です。一方の歯周病は、歯周病菌による感染症で、歯茎やその周囲の組織に炎症を起こし、やがて歯を支える骨(歯槽骨:しそうこつ)を溶かしていきます。
ここから分かるように、「虫歯がない=歯茎も健康」というわけではないのです。どちらの疾患も口腔内の細菌が原因で発生しますが、ダメージを与える場所も進行の仕方も異なります。
プラークが関係するのは共通点

虫歯と歯周病は異なる病気ですが、そのどちらにも深く関わっているのがプラーク(歯垢)です。 プラークとは、歯の表面に付着する細菌のかたまりです。
このプラークの中には、虫歯菌や歯周病菌を代表とするさまざまな細菌が潜んでいます。虫歯菌なら歯の表面を溶かし、歯周病菌なら歯茎に炎症を起こすというように、それぞれ別の形で悪さをします。
つまり、毎日の歯磨きでプラークをしっかり落とせていなければ、虫歯にも歯周病にもなりうるということです。
虫歯がない人こそ歯周病に気づきにくい理由
虫歯がない人に限って歯周病が進行しやすい理由は主に2つあります。
歯周病は痛みが出にくい

まず一つ目が、歯周病は痛みが出にくい疾患であることです。虫歯の場合、冷たいものがしみたり、ズキズキとした痛みを感じたりと、比較的早い段階で異変に気づきやすいのが特徴です。
一方で、歯周病は、冒頭でも触れたように、自覚症状がほとんどないまま静かに進行していきます。「歯がグラグラする」「噛むと痛い」などの症状が現れるころには、すでに深刻な状態まで進んでいることも少なくありません。
これが歯周病はサイレント・キラー(静かな殺し屋)と呼ばれるゆえんです。
虫歯にならない人ほど歯医者に行かない

もう一つは、虫歯にならない人ほど歯医者に行かないことです。特に、これまで虫歯になったことがない人ほど注意が必要です。
虫歯になりにくい体質の人は、唾液の質や歯質の強さに恵まれていますが、反面、歯科医院から足が遠のく傾向があります。その結果、磨き残しの癖やプラークの蓄積に気づく機会がなく、自覚症状がないまま歯周病が進んでしまうケースが多く見られます。
「歯が痛くない=健康」と考えやすいと、口の中に注意を向ける機会が少なくなりがちです。今の丈夫な歯を守り続けるためにも定期的な検診を習慣にしましょう。
見逃されがちな歯周病の初期症状
歯茎の出血や腫れ
歯周病は、自覚できるわずかな症状から始まります。代表的な症状は、歯を磨いた時の出血や歯茎の腫れです。
こうした症状は数日で治ることが多いことから「気のせいかな?」と見過ごされがちです。しかし、これらの症状は歯周病の初期段階である『歯肉炎』のサインであることもあります。ただし、この段階で適切なケアを行えば、歯周病の進行を食い止めることが可能です。

逆に放置してしまうと炎症が広がり、歯を支える骨にまで影響を及ぼす『歯周炎』に進行してしまいます。出血や腫れは、一時的に治ったように見えても、それは「治った」とは言えません。違和感や症状が繰り返す場合は、早めに歯科医院へ相談しましょう。
自然に治ったように見えても治っていない

「歯茎の腫れが、いつの間にか治った」 。そう感じたことはありませんか。 しかし、それは歯周病が完治したのではなく、一時的に症状がおさまっているだけといえます。
歯周病は、体調やストレス、免疫力の変化などによって症状が現れます。一時的に歯茎の腫れが治っても、細菌そのものが減ったわけではありません。注意してください。
炎症をくり返している間にも、歯を支える骨がじわじわと溶けていき、気がついた頃には「もう歯を残せない状態だった」というケースは決して珍しくありません。
大切なのは、症状がなくても継続的なケアを受けることです。先述のとおり、歯周病は静かに進行する病気であることを覚えておきましょう。
歯周病を防ぐためにできること
毎日のセルフケアの見直し

歯周病を防ぐうえで基本となるのが毎日の歯磨きによるセルフケアです。特に意識していただきたいのが、細菌の塊であるプラーク(歯垢)を溜めないことです。
プラークは放置すると24〜48時間で歯石へ変化してしまいます。一度、歯石になると、歯磨きでは除去できなくなり、結果的に歯周病が進行してしまうのです。
歯磨きをするときは、歯と歯茎の境目や歯と歯の間など、「見えにくい・磨きにくい」場所こそ丁寧に磨きましょう。
正しく磨けているか不安な方は、町田歯科にお気軽にご相談ください。歯のメインテナンスの一環として、歯科衛生士によるブラッシング指導(TBI:Tooth Brushing Instruction)を受けてみましょう。
歯ブラシのコツがわかれば、磨き上がりが変わります。ご自身に合う歯磨き粉や、デンタルフロスの使い方もお伝えいたします。
定期検診で早期発見・予防

「痛くないから大丈夫」という間違った安心感が、結果として歯周病の発見を遅らせてしまうことがあります。
何度もお伝えしたとおり、歯周病は自覚症状がないまま進行し、気づいたときには歯を支える骨にまで影響が及んでいることも少なくないのです。
だからこそ、痛みや虫歯がなくても、定期的に歯科検診を受けましょう。検診では、歯茎の状態や歯周ポケットの深さをチェックすることで、」歯茎の小さな変化も発見でき、早期治療につながります。
コラムでもお伝えしたように、正しい歯磨きによるセルフケアに加え、歯科医院でのプロフェッショナルケアを忘れないでください。歯と歯茎の健康を維持するためにも、定期検診を習慣化しましょう。
痛みがなくても歯周病のチェックは忘れずに

虫歯がないからといって、すべての歯のトラブルから解放されているわけではありません。 歯周病は、痛みがなく静かに進行し、気づいたときには歯を失う原因となる恐ろしい病気です。
特に虫歯になりにくい方や、長く歯科医院へ行っていない方こそ、歯周病に気づくタイミングを逃しやすい傾向があります。毎日のセルフケアに加え、定期的な歯科検診を受けることが、将来の歯を守る最善の方法です。
自分の歯茎の状態を正しく知り、適切なケアを行うことが未来の健康な口元につながります。今回のコラムを読んで、歯周病が気になった方や、長い間歯医者に行っていないという方も、町田駅すぐそばの町田歯科にぜひお越しください。
参考文献








