「子どもが寝ているとき歯ぎしりをしている」という保護者の方のお悩みをよく伺います。
歯ぎしりや食いしばりの原因と影響のコラムで解説したように、歯ぎしりの原因としてはストレスが有名なので、「子どもがストレスを抱えているのではないか…」と心配される保護者の方が多いようです。
実は、子どもの歯ぎしりは珍しいことではなく、約20%のお子さんに見られるともいわれており、その多くは、歯や顎の成長過程で起こる自然な現象で、成長とともに落ち着いていくケースがほとんどです。
とはいえ、なかには注意が必要な歯ぎしりもあります。
今回は、子どもの歯ぎしりの原因から年齢別の特徴、受診すべきサイン、ご家庭でできる対処法まで解説していきます。
子どもの歯ぎしりは成長とともに起こる自然な現象であることも多い

子どもの歯ぎしりの多くは、成長に伴う生理現象です。冒頭でも触れたように、「子どもの約20%に歯ぎしりがみられる」というデータがあり、お子さんの5人に1人が歯ぎしりをしていることが分かっています。
ただ、子どもの歯ぎしりは「年齢とともになくなっていくことが多い」とされており、大人の歯ぎしりのように病的な原因があるケースはまれなことが多いと言えます。
子どもの歯ぎしりの原因

子どもの歯ぎしりの原因として、次のようなものが挙げられます。
- 噛み合わせが悪い
- 歯や顎の正しい位置を探している
- 緊張や不安
乳歯が生え始める生後6〜8か月頃から、お子さんは無意識に歯をすり合わせるようになります。これは、上下の歯がうまく噛み合う位置を探す行動で、いわば噛み合わせの調整を目的とした自然な現象です。
詳しくは乳歯から永久歯への生え変わりの仕組みのコラムでお話ししましたが、特に乳歯から永久歯へと生え変わる時期は、お口の中の状態が大きく変化します。お子さんは寝ている間に歯をすり合わせることで、新しい歯並びやあごの位置を自分で微調整しているのです。
また、保育園や幼稚園への入園、新しい兄弟・姉妹の誕生、引っ越しなど、お子さんにとって大きな環境変化があると、緊張や不安から歯ぎしりをすることがあります。
ただ、こういった緊張や不安は、歯ぎしりの主な原因ではないとする研究データもあるので、気にしすぎるのは良くありません。
注意した方が良い、歯ぎしりがお子さんの歯に与える影響
前述のとおり、子どもの歯ぎしりは多くの場合、成長とともに自然に治まります。
しかし、歯ぎしりの力が強かったり、長期間続いたりすると、以下のような症状が出ることがあるため、注意が必要です。詳しくは後述しますが、歯科医院での治療を行うケースもあります。
歯のすり減り(咬耗:こうもう)

歯ぎしりによって歯の表面のエナメル質が削れてしまうことがあります。エナメル質が薄くなると、知覚過敏が起きやすくなり、冷たいものや甘いものがしみるといった症状が出るようになってきます。
また、歯の先端が平らになったり、場合によっては歯が欠けたりすることも珍しくありません。
くさび状欠損

歯ぎしりで強い力がかかり続けると、歯の根元付近がくさび形に削れてしまうことがあります。これをくさび状欠損といい、放置すると知覚過敏や虫歯の原因になることもあります。
顎の疲労感や痛み

朝起きたときに「顎がだるい」「顎が痛い」とお子さんが訴える場合は、歯ぎしりによる筋肉の疲労が原因かもしれません。
この症状が長期間続くと、顎関節症につながる可能性もあるため、注意が必要です。
睡眠の質の低下

歯ぎしりによって睡眠が浅くなり、日中の集中力低下や疲労感につながることがあります。また、歯ぎしりの音が大きいと、一緒に寝ている家族の睡眠を妨げてしまうこともあります。
歯科医院で行う子どもの歯ぎしりへの対処
上で挙げたような各症状がある場合は、歯科医院の受診をおすすめします。
噛み合わせのチェックと調整

まず、歯科医院で噛み合わせに問題がないかを確認します。歯並びや噛み合わせのズレが歯ぎしりの原因になっている場合は、必要に応じて矯正治療を検討することもあります。
マウスピース(ナイトガード)の使用

歯がかなりすり減っている場合や、顎への負担が大きい場合には、コラムでもご紹介した、就寝時に装着するマウスピース(ナイトガード)を作製することがあります。歯ぎしりそのものを止めるものではありませんが、歯や顎を保護するのに効果的です。
ただ、お子さんの場合は、顎が成長途中の時期にあるため、必ず使用するというわけではありません。
定期検診での経過観察

歯ぎしりは成長とともに自然に治まることも多いため、定期的に歯の状態をチェックしながら経過を見守るのも治療方針のひとつです。
保護者が気づかなくても、歯科検診で歯の咬耗や顎の状態の良し悪しが分かることもありますので、歯科医院での定期健診は受けるようにしましょう。
ご家庭でできるお子さんの歯ぎしり対策
歯科医院での治療だけでなく、ご家庭でも心がけると良い歯ぎしり対策をご紹介します。
日中にしっかり体を動かす

日中に適度な運動をすることで、夜ぐっすり眠れるようになります。外遊びや体を動かす習慣を取り入れて、お子さんがエネルギーを発散できる機会を作ってあげてください。
よく噛んで食べる習慣をつける

食事の際によく噛んで食べることで、あごの発達を促し、噛み合わせの安定につながります。やわらかい食べ物ばかりでなく、野菜類やお肉、お魚など、お子さんの成長にも重要で、しっかり噛んで食べる食材も食事に取り入れましょう。
リラックスする

お伝えしたように、不安や緊張が歯ぎしりを引き起こすこともあります。そんな時、絵本の読み聞かせや、ゆったりとしたお風呂の時間などは、就寝前のお子さんの心を落ち着かせるのに効果的です。
ただ、一過性の歯ぎしりであったり、噛み合わせが安定しないために歯ぎしりをしている場合もありますので、過度な心配はせずに様子を見るようにしてください。
お子さんの歯ぎしりが不安な場合は歯科医師に相談を

お子さんの歯ぎしりは、成長過程でよく見られることであり、全ての歯が永久歯に生え変わる12歳ごろには落ち着いてきます。基本的には過度に心配する必要はありません。
ただし、歯が極端にすり減っていたり、お子さんが「顎が痛い」「眠れない」と訴えたりする場合は注意が必要です。放置すると、知覚過敏や顎関節症につながる恐れがあります。
ご家庭では、リラックスできる睡眠環境を整えたり、よく噛んで食べる習慣をつけることを心がけましょう。もちろん、今回のコラムを読んで思い当たる症状がある場合や、日頃から強い食いしばり癖のあるお子さんの場合は、町田駅すぐそばの町田歯科へお気軽にご相談ください。








