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小児歯科

人よりも歯の本数が多い過剰歯とは?

4月~5月は小中高の各学校で歯科健診が実施される時期です。法律で学校歯科健診は6月30日までに行なうことになっているためです。

学校歯科健診は、お子さんが検診を通して自分の歯や口腔の状態を知り、健康の保持増進の意識を高めるために行われますが、そこで過剰歯(かじょうし)を指摘されるお子さんもいらっしゃるかと思います。

町田歯科でもお子さんの過剰歯を心配され、親御さんからご相談を受けることがありますので、今回はそんな過剰歯について解説しましょう。

過剰歯とは?

通常、歯の本数は乳歯なら20本、永久歯なら28~32本(4本の差は親知らずが生えた場合です)なのですが、過剰歯とは、字のとおり通常よりたくさんの歯が生えてくることを指します。上顎・下顎のどの場所にも発生する可能性があります。

ただ、過剰歯の原因はまだはっきりと分かっていません。遺伝的な原因や、お口の何らかの環境などが関係していると言われます。

過剰歯の発生の割合は、日本人では全人口の約2%ぐらいで、アメリカやヨーロッパでも同程度です。男女比については、日本では男性の方が女性よりも多いとされ、約2:1の割合で男性に多く過剰歯が見られます。アメリカやヨーロッパでは、男女比に大きな差はありません。

過剰歯の種類

過剰歯は順正逆性に分けられ、各々、順正過剰歯(じゅんせいかじょうし)、逆性過剰歯(ぎゃくせいかじょうし)と呼ばれます。また、過剰歯は顎の骨の中に埋まっていることも多く、これは埋没過剰歯(まいぼつかじょうし)と呼ばれます。

順正過剰歯は、口の中で普通の歯と同じ方向に生えてくる過剰歯のことです。代表的なものに、上顎の真ん中(正中:せいちゅう)に発生する正中過剰歯(せいちゅうかじょうし)や、大臼歯の頬側に発生する臼傍歯(きゅうぼうし)があります。

第四大臼歯

逆性過剰歯とは、普通の歯と逆向きに生えてくる過剰歯のことです。上顎にできた逆性過剰歯は、鼻の方に向かって生えています。逆性過剰歯の例としては、第三大臼歯である親知らずの後に発生する第四大臼歯などが挙げられます。

実際の過剰歯の写真は、東京都立小児総合医療センターのページでも確認できますので、興味のある方はご参照ください。

過剰歯の気づき方

過剰歯の気づき方

過剰歯は無症状であることが大半なので、歯科医院でレントゲン撮影した時に見つかることが多くなります。例えば、お子さんの上顎の前歯に隙間があり、親御さんが「正しく永久歯が生えてこないのでは?」と心配して歯科受診したところ、発見されるといったケースです。

ただ、埋没過剰歯でなければ、自分で触ってみて気づくこともあります。過剰歯は通常の歯と違う場所や向きに生えていますので、お口の中を歯ブラシで触ってみて、普通とは異なる位置に歯がないかを確認してみましょう。

過剰歯が引き起こすトラブル

過剰歯が引き起こすトラブル

過剰歯は、歯並びの不正、歯肉炎や嚢胞(のうほう:体内の分泌物が袋状に溜まる病態)などを引き起こします。以下で列挙していきましょう。

永久歯が萌出しにくい

過剰歯が永久歯の成長や生える場所にあると、永久歯が萌出(ほうしゅつ:歯が生えること)しにくいことがあります。先ほどお話しした、上顎の前歯の間に生える過剰歯(正中過剰歯)は代表的な症例です。

すきっ歯

正中過剰歯が上顎の前歯を左右に押し広げることで、歯の間に隙間を作り、いわゆるすきっ歯になってしまうことがあります。原因の過剰歯を抜歯しても、この隙間は自然に閉じないことがあるため、注意が必要です。

永久歯の歯根を溶かす

過剰歯が骨中で成長すると、近くの永久歯の根元(歯根:しこん)を溶かしてしまうこともあります。歯がダメージを受けると、根元の象牙質や神経が露出します。こうなると、その永久歯は虫歯などの感染症にかかりやすくなってしまいます。

嚢胞(のうほう)

過剰歯が埋まっている骨の周りに嚢胞ができることがあります。嚢胞が大きくなると、永久歯の根元を溶かしたり、細菌感染したりする危険性がかなり高くなります。

過剰歯の治療法

過剰歯の治療法

過剰歯の治療法は、 主に抜歯です。また、症状に応じて矯正治療も行います。過剰歯の向きや位置によって、抜歯のタイミングと方法が異なりますので、ご説明しましょう。

抜歯のタイミング

順性過剰歯の場合は、生え揃うのを待ってから抜歯します。逆性過剰歯の場合、歯茎の中に過剰歯が埋まっていることが多く、そのまま萌出しないこともあります。

逆性過剰歯は、顎の骨の奥にあるため、まずはレントゲンで確認します。顎の骨の奥深くに埋まり、他の歯に悪影響を与えないなら、抜歯せずに経過観察することもありますが、近くの歯に影響が出てしまうと判断される時は、やはり抜歯を行うことになります。

また、代表的な症状である正中過剰歯の抜歯は、多くの歯科医院で行われていますが、抜歯するなら早期に行うのが望ましいでしょう。

抜歯の方法

順正過剰歯の抜歯は、普通の抜歯と同様なので、それほど時間はかかりません。

逆性過剰歯の場合、歯肉を剥離し、骨を削って過剰歯を露出してから抜歯します。抜歯が終わったら、歯肉を元の位置で縫合して終了になります。こちらの場合は、抜歯前の準備・抜歯・縫合まで合わせると、やはり数十分程度はかかるでしょう。その後、縫合に使った糸は1~2週で抜糸します。

また、お子さんの恐怖心が強い場合、過剰歯が難易度の高い箇所にある場合、基礎疾患がある場合などは、全身麻酔下で行うこともあります。全身麻酔というと少し驚かれると思いますが、麻酔科医が常に監視しているため、問題なく手術を受けることができます。全身麻酔下で過剰歯の抜歯を行っても、翌日からは普段通りの生活に戻れることが多いので、さほど心配しなくても大丈夫です。

気になったら歯科医院で過剰歯の確認を

気になったら歯科医院で過剰歯の確認を

今回は過剰歯について解説しました。お伝えしたように、過剰歯は埋没していることも多いため、本人ではなかなか気づけないケースも多くなります。

過剰歯の状態や治療法には個人差があります。お子さんの過剰歯について正確に知りたい場合は、 やはり歯科医院で診てもらうのが一番でしょう。町田歯科はお子さんが抵抗なく、通いやすい小児歯科治療を大切にしていますので、安心してご相談いただければと思います。

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