歯科医院で治療を受ける際、お口を開けている時間が長くて、辛くなった方はいらっしゃいませんか?
もちろん町田歯科では、患者さんのコンディションを第一に考えておりますので、適宜お口を開けているのが辛くないかを確認し、治療を進めていきます。
ただ、一般的に言えば、歯科治療では口を開けた状態を保つことになりますし、また、奥の歯に行けば行くほどお口をしっかりと開けなくてはなりません。治療もすぐに終わるわけではないので、長い時間開け続けることも多くなります。
普段、お口を大きく開けることは少ない
皆さんも、日常生活では口をずっと大きく開け続けることはないでしょう。そのような機会は少ないだけに、「歯科治療のたびにお口を長い時間開け続けるのが辛い」という方も珍しくありません。中には、開けていられないほど辛いという方もいらっしゃいます。
そこで今回は、歯科治療中にお口を開けるのが辛い理由や、そんな時の対処法についてご紹介します。
どれくらいお口を開ける必要があるの?
歯科治療を受ける際、お口をどれくらい開けていれば良いかというと、それは治療する歯の場所によります。最も大きく開けて欲しいのが、下顎の親知らずの抜歯でしょうか。
ただしその時でも、人差し指と中指を縦に並べたくらい開けられれば十分治療可能です。皆さんも、実際に指をお口に当ててみてください。もちろん個人差はあるものの、思いっきりお口を開くというレベルではありません。
お口を開け続けるのが辛くなる理由
顎関節への負担がかかる
ヒトはお口を大きく開ける時、顎の関節が前に少し移動します。これはヒトだけに見られる現象で、その他の動物にはない顎の動き方です。
地球上の動物は、関節部分の回転運動だけで口を開けるように進化してきたので、ヒトの顎はイレギュラーな動き方をしているのです。
このため、短時間なら問題ないものの、長時間にわたって大きく口を開けていると、顎の関節のイレギュラーな状態が続いてしまいます。こうして顎の関節にかかる負担が大きくなり、開けているのが辛くなってきます。
筋肉の負担が大きくなる
お口を開けるには、咀嚼筋(そしゃくきん)という筋肉の働きが欠かせません。上のイラストにもある、側頭筋や咬筋も咀嚼筋の一つです。他に内側翼突筋(ないそくよくとつきん)や外側翼突筋(がいそくよくとつきん)があり、外側翼突筋が、開口時に顎を前に出す動作を行います。
大きく開けるなら、それだけ筋肉もしっかりと働かなければならず、開けている時間が長引けば、筋肉への負担も大きくなります。咀嚼筋への過度な負担も、お口を開けるのが辛くなる理由の一つです。
お口を開けるのが辛くなるのを防ぐには?
では、ここからはお口を開けているのが辛くならないようにする方法を、具体的に挙げていきましょう。
お口の開け幅を最小限にとどめる
冒頭でもお伝えしたように、お口をどれくらい開ければ良いのかは、治療する歯の場所や処置の内容によって差があります。
例えば下顎の親知らずの抜歯では、大きくお口を開けていただきたいですが、上顎の親知らずの場合は、大きく開けるとかえって抜歯しづらくなるので、大きく開けないのがポイントです。下顎の骨にある筋突起(きんとっき)という出っ張りが、親知らずの近くにやってくるからです。
お口を開けるのが辛くならないように、治療する歯の場所や処置内容に合わせて、必要最小限の開け幅にするようにしましょう。
治療中に休憩を挟む
歯科治療は、内容によっては処置時間が30分以上かかることもあります。ただし、30分以上ずっとお口を開け続けなければならないのかというと、そんなことはありません。
どんな治療でも、途中で休憩を挟むタイミングを作ることは十分可能です。お口が疲れてきたら、手を挙げてその旨を伝え、適度に休憩を挟みながら治療を進めてもらいましょう。
治療の途中で休んでも、お口を開ける辛さが解消しない場合は、治療を一時中断して、後日に改めて治療を再開するのも一つの方法です。その場合は、切りの良いところで治療をいったん終えてもらえるよう、担当医と相談してみましょう。
治療を何回かに分ける
歯科治療は、何回かに分けることもできます。例えば、奥歯にできた虫歯に対する根管治療などが該当します。
奥歯の大臼歯はとても大きな歯であり、根が複数あるうえ、大きく開けないとよく見えず、器具も入れにくい箇所にあります。そのため、どうしても口を大きく開けた状態を一定時間続けることになってきます。
ただし、一回の治療で神経を全て取り除く必要はありません。前回終えたところから、また治療を再開することになりますが、一回の根管治療を日常生活で痛みを感じない程度にとどめ、続きを次回の診察日にするということもできます。
一度に全ての処置を行うのではなく、無理のない範囲にとどめるようにすれば、治療時間が短く抑えられるので、お口の疲れを防げます。
小さな器具に変えてもらう
さすがに担当医の指を小さくすることはできませんが、担当医が治療に使う器具は、小さくできることがあります。
根管治療に使うリーマーやファイルという針のような器具は、短いものから長いものまで3種類あります。歯を削るタービンというドリルも小さなタイプが作られていますし、ドリルにつけて削るダイヤモンドバーも同様です。
小さな器具が選べるなら、それらに代えてもらうと、お口の開け幅を小さくできます。
開口器を使う
開口器は、お口を開けるために上顎と下顎の歯の間に挟む器具で、噛んで使います。
お口を開ける時は開口筋、閉める時は閉口筋という筋肉を使います。これも前述のとおり、疲れやすいのは開口筋です。
開口器を使うと、開口筋を使わずに、疲れにくい閉口筋だけを使うので、意外とお口が疲れなくなる方もいらっしゃいます。
お口を開けているのが辛い時は、無理せず伝えましょう
今回は、歯科治療中にお口を開けるのが辛くなった時についてお話ししました。冒頭でもお伝えしたとおり、町田歯科では、患者さんのコンディションを第一に考え、治療中にお口を開けているのが辛くないか、随時確認するようにしています。
「せっかく治療しているのだから…」とお考えになる方もいらっしゃるかと思いますが、やはり無理は禁物です。
治療中にお口がしんどくなるのは、人間ならではの骨格や、顎関節・筋肉への負荷が原因ですから、長時間にわたってお口を開け続けるのは簡単ではありません。治療中にお口を開けているのが辛くなった場合は、素直に担当医や歯科衛生士に伝えるのが良いでしょう。
もし、そういったことが伝えづらいと思われる方でも、町田歯科では徹底して患者さんのカウンセリングを重視しておりますので、安心しておっしゃっていただければと思います。過去に歯科治療でお口を開けるのが辛くなった経験のある方も、町田歯科にぜひご相談ください。