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虫歯治療

虫歯の菌はいつから口に住み着くの?

いよいよ夏休みシーズンですね!お伝えしたとおり、当院も8月11日(木)~8月14日(日)までは休診となります。お子さんも開放的になって、ついついお菓子や甘い飲み物などを口にしやすい時期です。しかし、そのまま歯のケアを怠ってしまうと、やはり虫歯になるリスクも高まります。

ただ、生まれて間もないお子さんには、口の中に虫歯菌がいないということをご存知ですか?
実は、ある時期からお子さんも虫歯になりやすくなってしまうのです。

虫歯というと、虫歯菌から出る酸によって歯が溶かされるというイメージをお持ちかと思います。確かにそのとおりですが、ではその虫歯の菌は一体いつから私たちの口に存在するのでしょうか?そして、何が原因で虫歯菌は増えていってしまうのでしょうか。

そこで今回は、虫歯の菌はいつ頃私たちの口に住み着き始め、どうして増えるのかという理由、そして、よく耳にする「感染の窓」「カイスの輪」についてもご説明したいと思います。

虫歯の菌が発生する理由

虫歯菌は感染症

虫歯菌は感染症

冒頭でも触れたとおり、我々は生まれてきた時には、虫歯の原因となる代表的な菌(streptococcus mutans:ストレプトコッカスミュータンス)を保有していません。虫歯の菌は、それを持っている人から持っていない人へとうつっていくものなのです。そのため、ある時期に大人から子どもへ虫歯の菌が伝わる感染症の一種とされています。

感染の窓

子どもの歯は、最初に生後7ヶ月前後から下の前歯が生えてきます。この時期から注意が必要ですが、特に虫歯の菌がうつりやすい時期として「感染の窓」というものがあります。聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。

この「感染の窓」は生後18ヶ月から36ヶ月の期間を指し、乳歯がいくつか生えてから、全て生え揃うくらいまでの時期になります。まだ歯が生え揃わない赤ちゃんの頃は、虫歯の原因菌が口に入っても、多くは留まることなく流れて行ってしまいます。しかし歯が生え揃ってくると、細菌も口の中に定着しやすくなり、虫歯のリスクが大きくなるため、「『感染の窓』が開く時期」と言われるのです。

また、この時期を虫歯にならずに過ごせれば、その後も虫歯にならないとお考えになる方もいるのですが、一概にそうとは言えませんのでご注意ください。

どのように虫歯の菌に感染するのか

どのように虫歯の菌に感染するのか

特に気をつけないといけない期間を理解したうえで、今度は実際にどのようにして感染してしまうのかを見ていきましょう。

基本的には、親から子どもへのキスや、飲食時の食器、箸やスプーンなどの使いまわし、熱いものを冷ますために食べ物に息を吹きかけてから与えるなど、何らかの形で親の唾液が子どもの口に入ってしまうのが原因として考えられています。子育て中にこのようなことまで気を配るのは難しいかもしれませんが、今後の虫歯リスクの軽減になり得ます。

もちろん、これだけに気をつけていれば将来的に絶対に虫歯にならないわけではありません。しかし、虫歯になるリスクが低下する可能性はあるので、十分に留意したいところです。もしお子さんの歯についてわからないことやご質問がある場合は、小児歯科で受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

虫歯の少ない親の子どもは、虫歯の多い親の子どもより虫歯になるリスクが低いというデータがあるように、子どもの虫歯リスクを下げるためには、大人がまず予防しなければなりません。町田歯科では歯のメインテナンスを特に重視していますが、お子さんのお口の健康を守るためにも、親世代の方が率先して定期検診を受診することをおすすめします。

虫歯になる原因

虫歯が作られる要因(カイスの輪)

カイスの輪~虫歯になる原因となる3つの因子
カイスの輪

虫歯はいくつかの要素が重なることによって起こると考えられています。これはカイスの輪keyesの輪というもので説明されています。虫歯には大きく3つの因子があり、「1.細菌」、「2.宿主(の歯や唾液の状態)」、「3.糖」からなります。上図のように、これらの要因が複合的に絡み合って、虫歯になると言われています。それぞれについて解説していきましょう。

1.細菌

細菌(虫歯菌など)は前述したとおり、酸を作り、歯を溶かします。PMTCってなに?の記事でも触れましたが、細菌は歯にくっつき、表面に不溶性グルカンというネバつきのようなものを作り出して、そこを足場として長く存在しようとします。

ネバつきはさらに細菌の集合体になっていきます。そして単一の細菌だけでなく、様々な細菌が集まる状態になり、これを「バイオフィルム」と呼びます。

このバイオフィルムが作られてしまうと、薬剤などの感受性が低くなります。歯を磨かずに洗口剤で口をすすいでも、汚れが取れず、あまり効果が得にくいのはこのような理由からです。排水溝のぬめりのようなものなので、日頃から歯ブラシなどで磨いて落としていく必要があります。

2.宿主(の歯や唾液の状態)

宿主の因子とは、自分の唾液や歯の質、体の状態などのことです。全身的な疾患により歯が正常に作られない時、歯並びが乱れていて上手く磨きにくい時などがこれに相当します。

歯並びを改善させる一つの方法として、矯正治療が挙げられます。治療期間が長く、費用もかかるイメージがありますが、歯並びが悪ければ、毎日の歯磨きに時間を多く取られ、虫歯のリスクも高い状態になりますので、矯正治療によるメリットは十分にあると言えるでしょう。

3.糖

糖は細菌にとってのエネルギーになります。細菌は糖を栄養として酸を作り出します。しかし、糖の中でも細菌に酸を作らせないものがあります。

代表的なものとして、ガムなどで馴染みのキシリトールがあります。甘みがありますが、細菌に利用されることがないので、キシリトール単体では虫歯になりません。詳しくはキシリトールの働きと効果的な使い方の記事でも解説していますので、ご参照ください。

もう一つの因子は「時間」

以上の3つの要因にプラスして「時間」という要因が加わり、虫歯になります。

私たちの口の中の環境はほぼ中性ですが、飲食をすると口の中は酸性になります。中性にしてくれるのは唾液による恩恵が大きいのですが、時間を決めずにダラダラと飲食してしまうと、口の中が中性に戻らず、酸性の環境から脱けられません。お口の中が酸性のまま時間が経つと、虫歯になりやすくなってしまいます。

また、歯の表層のエナメル質の臨界PHは5.5と言われています。飲み物ですとお茶などは平気ですが、甘めの紅茶やスポーツ飲料、炭酸飲料などは酸性の度合いが高いため、注意が必要です。

これら「1.細菌」、「2.宿主」、「3.糖」、そして「時間」の部分を改善できれば、虫歯のリスクを下げることにつながるのです。

虫歯予防としてのフッ化物

フッ化物は昔から虫歯の予防として用いられています。歯磨き粉の中にも含まれているものが多いですね。フッ化物にはどのような効果があるかを少しご紹介しましょう。

歯のエナメル質は結晶のような構造で、ハイドロキシアパタイトというもので構成されています。フッ素を結晶構造に取り込むと、フルオロアパタイトという構造に変わります。

このフルオロアパタイトに変化すると、酸に対して抵抗力がつき、虫歯になりにくくなります。さらに、再石灰化も促してくれます。

この効果により、フッ素は虫歯の治療にも用いられているのです。歯の表面が部分的に白く白濁している部位は、エナメル質の結晶構造が壊れてしまっている状態なので、その部位にフッ素を塗布するという方法を採ります。

日頃の適切な予防が虫歯のリスクを下げてくれる

日頃の適切な予防が虫歯のリスクを下げてくれる

虫歯は誰でもなり得るものなので、いかにその要因、そしてリスクを下げるかが重要になってきます。町田歯科でも多くの虫歯治療を行っていますが、虫歯というものは、一度治療すればもう大丈夫というものではありません。

日頃の適切な予防が、虫歯のリスクを下げることにつながります。大人も小さなお子さんも、常に予防メインテナンスを心がけ、大切な歯を守るようにしてください。

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