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親知らず

縄文人も悩まされていた!?親知らずの腫れや痛み

町田歯科のブログでは、歯にまつわる様々なテーマを取り扱っています。最近は、ラバーダムタングクリブなど、ちょっと専門的なお話が続きましたので、今回はあえて歴史をテーマにしてみましょう。

さて、歯の病気というと、多くの方が思いつくのは、虫歯や歯周病ではないでしょうか。そして、同様に多くの方が悩まされるのが智歯周囲炎(ちししゅういえん)という親知らずの腫れです。

もちろん町田歯科では親知らず治療も行っていますが、親知らずの腫れは、歯肉が腫れるだけにとどまらず、お顔や首まで腫れることもあり、とても怖いものですよね。

今回のテーマは縄文人の歯!?

そんな親知らずの腫れですが、現代人だけの悩みではなかったようです。実は縄文人も親知らずの腫れに悩まされていたことがわかってきました。

今回は、そんな縄文人も悩まされていた親知らずの腫れや痛みについてお話しします。もちろん歴史を振り返るだけでなく、どうして親知らずの腫れや痛みがひどいのか、また、今後親知らずはどうなっていくのかということについても触れたいと思います。

縄文人の親知らずの状態について

縄文人の親知らずの状態について

縄文人の親知らずが腫れたり、痛くなったりしていたことが、どうしてわかるのでしょうか?

その答えは、縄文時代の遺跡で見つかる古人骨(こじんこつ:遺跡などから発掘される古い人骨)にあります。

縄文人の親知らずの生え方

古人骨ですから、歯肉のような軟組織は全く残っていませんが、骨と歯だけはしっかりと残っています。

親知らずの生え方を見てみると、現代人と同じように、真っ直ぐに生えず、斜めに生えていたり、埋まったままになったりしていた人が多かったことがわかりました。

親知らずの炎症の有無の調べ方

先ほどもお話ししたように、古人骨ですから、歯肉は残っていません。では、どうして親知らずが腫れたかどうかがわかるのでしょうか?

それは、親知らずの周囲の骨の状態から推測されます。

炎症反応による骨の増殖

現代のように、親知らずを抜歯する方法だけでなく、抗菌薬のような効果的な薬物治療法を縄文人は持っていませんでした。このため、一度腫れたり痛んだりした親知らずは、何回も腫れて引いてと、炎症を繰り返していたと考えられます。…かなり辛いですよね。

この時、親知らずの周囲の骨に炎症反応が起こります。親知らずを抜くことができないので、何度も何度も炎症反応を繰り返します。この結果、親知らずの周囲の骨に、炎症反応による骨の増殖が起こり、特徴ある骨の形が現れるのです。

古人骨を調べてみると、親知らず周囲の骨に、炎症反応が原因と考えられる特徴的な骨増殖が確認されることから、親知らずの腫れや痛みを繰り返していたと推測されるのです。

親知らずが腫れやすい理由

親知らずが腫れやすい理由

現代人だけでなく、縄文人も親知らずが腫れていたのはどうしてなのでしょうか?それは、親知らずの生え方に理由があります。

顎が小さくなった

親知らずが腫れやすい理由としてまず挙げられるのが、顎が小さくなったということです。実は、人類の顎は時代とともに小さくなっています。

この傾向は最近に始まったものではなく、3万年ほど前からのものであることが明らかになっています。

顎の骨が小さくなっている一方、歯の大きさは変わりありません。このため、歯と顎の大きさがアンバランスになり、親知らずが生える余地がなくなってきたのです。この点は、現代人も縄文人も変わりないようですね。

親知らずが生える時期が遅い

親知らずが生えてくる年齢も関係しています。親知らずが生えてくる時期は、16~18歳以降です。

この頃になると、親御さんがお子さんのお口の管理をしなくなるので、「生えてきても親が気がつかない歯」という意味で、親知らずと呼ばれるようになったと言われています。

この年齢では、すでに顎の骨の成長発育は終わっています。親知らずが生えてくるからといって、顎の骨格が大きくなることもないので、この時点で歯の生えるスペースが足りなければ、親知らずはまっすぐ生えることができないというわけです。

親知らずの生え方が悪い

顎の骨格が小さくなり、しかも生えてくる頃には顎の成長発育も終わっている。このように悪条件が揃ったため、親知らずはきれいに生えてくることが難しくなりました。

このため、親知らずの多くは、埋伏(まいふく)と呼ばれる顎の骨の中、あるいは粘膜の下にとどまっている状態か、一部だけが生えた半埋伏(はんまいふく)という状態になっています。

一番厄介なのは半埋伏の親知らず

一番厄介なのは半埋伏の親知らず

特に問題となるのが半埋伏です。半埋伏の状態では、中途半端に親知らずが出ているために、親知らずの周囲の粘膜に炎症が起こり、強い腫れや痛みを引き起こしてしまうのです。

腫れや痛みがひどいと、お口を開けることが難しくなるだけでなく、喉の付近にも炎症が広がるため、喉の痛みや顔の腫れを引き起こすことも珍しくありません。ちゃんと歯が生えてこないというのは、とても怖いことなのです。

親知らず治療の重要性

縄文人も悩まされてきた親知らずですが、これからどうなっていくのでしょうか?研究者の予測では、「顎のサイズが小さくなるスピードに追いついて歯が小さくなる」というのは難しいと考えられています。

親知らずの手前の歯も半埋伏に

なぜなら近年、顎の骨が急速に小さくなっているため、すでに親知らずの前にある、第二大臼歯という奥歯の半埋伏が現れる頻度が増えているからです。

どうやら顎のサイズの縮小スピードに、歯の大きさが小さくなったり、歯の本数が減ったりするスピードは追いつきそうにないのです。

もしかしたら、将来の人類の智歯周囲炎は、親知らずだけでなく、その前の第二大臼歯の炎症も含めた概念に変わっているかもしれません。

親知らずはなるべく早期の治療を

親知らずはなるべく早期の治療を

縄文人というと、ずいぶんと過去の人類のように思われがちですが、顎の骨格は3万年ほど前から小さくなってきているので、人類の顎の歴史から考えると、縄文人も現代人も変わりないと言えるでしょう。

このため、縄文人も親知らずがきちんと生えてくることは少なく、腫れや痛みに長年苦しめられていたのです。

幸い、現代に生きる私たちは、歯科医療の発達により、親知らずの腫れや痛みを緩和する方法、親知らずを抜歯する方法を得ることができました。

親知らずの抜歯は、時間もかかり、抜いた後の痛みや腫れも辛いかもしれませんが、あくまでも一時的なものです。一度でも親知らずが腫れたことがある人、もしくは腫れたことはないけれど、明らかに変な生え方をしている方は、親知らずを抜いておくことをおすすめします。

親知らず治療のページでも詳しく解説していますが、もちろん町田歯科は親知らずの治療についても豊富な経験があります。そして何よりも痛みのない治療を最も重視しておりますので、親知らずでお悩みの方は、安心してご相談ください。

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