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歯の治療全般

削らない治療って何?

「削らない治療をお願いしたいです。」という問い合わせがよくあります。

最近ではいろんな歯科医院のホームページにも書いてますし、当院のホームページにも「なるべく削らない歯科治療」という表現を記載しています。

しかし実際はどの虫歯をどのように削るかはそれぞれの歯科医院においてバラバラで
怪しいところはなんでも削るというクリニックが多数あるのは事実です。

さて、削らない治療とは実際どういうことなのでしょう?
当院の虫歯の治療ページでも書いていますが、そもそも虫歯の治療とは単純に削る治療ではありません。

「先生、私にむし歯はありますか?」という質問には僕は必ずこう答えます。

「むし歯がない人はいません。食事をしている限り、歯が溶けるということは必ず起きてしまいます。僕にも毎日むし歯ができます。」

食事をした時点で歯は「脱灰(カルシウムなどのミネラルが溶けること)」が始まり、細菌の出す酸によって少しずつ溶けてしまいます。毎日、すべての人に虫歯ができてしまい歯は溶けてしまうのです。これは小児の乳歯でも大人の永久歯でも変わりません。

しかし毎日溶けるはずなのに、多くの場合歯はなくなりません。なぜでしょうか。

歯には自己修復機能として「再石灰化」という仕組みがあり、溶けるのですがきちんと元に戻るという仕組みがあります。

一度食事をすると口の中は酸性に傾き、唾液の力によって中性に戻されます。中性に近くなると再石灰化が起こり、むし歯はそれ以上進行せず元に戻るのです。患者さんへの説明ツールとして下記の図を僕はよく使います。

なぜ虫歯になるの?

再石灰化

再石灰化が正常に働くには重要な点が3つあります。

  • 虫歯によって穴ができていない
  • 歯磨きなどにより、プラーク(細菌と汚れの固まり)がきちんと除去されている
  • 元に戻る時間が充分にある

つまり小さい虫歯の段階で、きちんと口の中の環境を綺麗にキープすれば再石灰化が起き、虫歯はそこまで進行しないのです。

少し前までは「単純に黒くなっただけの小さい虫歯を削る」という考えが圧倒的でしたが、予防先進国であるスウェーデンなどではもう変色しただけで削る歯医者はほとんどいません。日本も予防歯科という概念が一般的になれば、すぐに削るという風潮はなくなっていくと期待しています。

逆に歯磨きの仕方が悪い方はもちろん、いくら丁寧に磨いても、日常的に甘いものをずっと食べ続けたりする人は、再石灰が正常に働かないため虫歯は進行してしまいます。

削らない治療の意味とは

削らない治療とは虫歯の進行を見極めて、むやみやたらに削らない治療ということです。
どの虫歯を削るべきかは実は保存学会の基準があるのですが、歯科医師でもこのことを知っている人はそこまで多くありません。

虫歯の進行を見極め、なるべく再石灰化を機能させるためには歯科医院での定期的なメインテナンスやクリーニングが欠かせません。残念ながら穴が大きくなった虫歯だと、今の医学では全く削らなくても大丈夫というわけにはいかないのです。

では全く削らない治療が存在しないのかと聞かれると実はこの世に存在しないわけではありません。歯を削らない治療法としては以下のようなものが挙げられます。

  • オゾン療法(ヒールオゾン)
  • 3mix療法
  • ドックスベストセメント
  • カリソルブ

こういった治療法は確かに存在し、テレビでも取り上げられたことはあるのですが、残念ながら2021年現在では科学的根拠が乏しく、ごく一部の歯医者でしか取り扱いがありません。

患者さんの同意を得て使用したこともありますが、今のところ効果が明らかであるとは言い難く当院ではこれらの治療を現在取り扱っていません。

今までの論文をいろいろ読んでも残念ながら根拠に乏しいと言わざるを得ないと思っています。
使用している歯科医院がダメだと言っているわけではないのでその点はご了承ください。

もし今後新しい論文などが出てきた場合は検討することもあるかもしれませんが、当院では科学的根拠の薄い治療法は原則採用していません。

ちなみに白濁やホワイトスポットと呼ばれる脱灰に有効であるとされるICONという治療法がありますが、それについてはまた今後説明したいと思います。

町田歯科・矯正歯科 院長 成田健志

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