「耳鼻科で検査しても難聴の原因がわからない…」
「そういえば、歯の治療をしてから耳の調子がおかしい気がする…」
このような疑問や不安はありませんか?
難聴は加齢や騒音、耳の異常などが原因としてよく知られていますが、実は、歯の噛み合わせや顎のズレといったお口のトラブルから難聴が引き起こされるケースもあります。
一見、難聴と歯には関係がないように思えますが、噛み合わせの悪さや、歯ぎしりや食いしばりなどで顎の関節(顎関節)が正常な位置からズレてしまうと、すぐ後ろにある耳の器官を圧迫し、血流が滞ることで難聴や耳鳴りが生じてしまうのです。
今回は、難聴とお口の問題の関係性や、難聴を引き起こす原因、歯科医院で行える治療について解説します。
難聴とは

皆さんもご存じのとおり、難聴とは音が聞こえにくくなる症状のことを言います。「聞こえにくい」といっても、その程度は人によってさまざまです。小さな声が聞き取りにくい程度のものから、日常会話がほとんど聞こえないほど重度のものまであります。
難聴の原因としては、加齢、騒音、ウイルス感染、中耳炎、メニエール病、ストレスなどがよく挙げられます。
難聴にはいくつかの種類があり、それぞれ原因や症状が異なりますので、一つずつ解説していきましょう。
伝音難聴(でんおんなんちょう)

症状:小さな音は聞き取れないが、大きな音は聞き取れる
耳垢や炎症などによって、耳の中が物理的に詰まってしまうことでおこります。原因となる病気を治療すれば、聴力が回復しやすいという特徴があります。
感音難聴(かんおんなんちょう)

症状:音自体は聞こえても言葉としてハッキリ聞き取れない
耳の奥にある細胞や聴神経などに異常が生じることで生じるタイプの難聴です。加齢による老人性難聴やメニエール病、突発性難聴などが代表的な例として挙げられます。
混合難聴
症状:伝音難聴と感音難聴の2つの症状がみられる
中耳炎の悪化などにより、音を伝える機能と感じ取る機能の双方に障害が起きている状態です。
機能性難聴

症状:検査をしても原因を特定できないが、聞こえにくい
ストレスなどの心因的要因による難聴です。難聴以外にも耳鳴りや耳の痛み、めまいなどの症状がみられることが多いのも特徴です。
なぜ歯が難聴に関係するの?

一見、口腔内と耳は何も関係していないように思われるかもしれません。しかし、冒頭でも触れたように、噛み合わせのズレや顎関節の異常は、耳にまで悪影響を及ぼすことがあります。
私たちの耳の穴のすぐ手前には、顎関節(がくかんせつ)と呼ばれる顎の関節があります。指を耳の穴のすぐ前に当てて、口を開け閉めしてみると骨が動いているのがはっきりとわかるはずです。
この顎関節は側頭骨(そくとうこつ)という頭の横にある骨のくぼみに収まっています。解剖学的にみると、顎の関節と耳の内部の器官は、数ミリしか離れていません。
そのため、噛み合わせが悪くなって、顎の関節が本来の位置から後ろや上へズレてしまうと、すぐ後ろにある耳の器官を直接圧迫し、耳が詰まったような感覚(耳閉感)や難聴を引き起こすことがあるのです。
難聴を引き起こす可能性がある「お口の中の問題」とは
それでは、具体的にどのようなお口のトラブルが耳の不調を招くのでしょうか。主な原因を見ていきましょう。
噛み合わせのズレ

髪の毛が1本口の中に入っただけでも違和感があるように、私たちのお口は非常に敏感です。ほんの数ミクロンの噛み合わせの狂いによって、顎の関節がずれてしまう原因にもなります。
顎の関節がずれてしまうと、耳周辺への血流が滞ったり、神経が刺激されたりすることもあるため、ここから耳閉感、耳鳴り、難聴といった症状が現れることがあります。
「新しい被せものを入れてから耳が聞こえにくい気がする」と感じているなら、被せものの高さが合わず、噛み合わせにズレが生じているかもしれません。
詰めものや被せものの高さが合っていないとお感じの方は、気になる詰めもの・被せものの段差…どうしたらいい?のコラムでも解説しておりますので、併せてご参照ください。
歯ぎしり・食いしばり

強いストレスや緊張から、無意識に歯を強く食いしばったり、寝ている間にギリギリと歯ぎしりをしたりする方は要注意です。
歯ぎしりや食いしばりの種類と治療法のコラムでもお話ししましたが、人間の噛む力は、自分の体重と同じくらい強いと言われています。そんな強い力が何時間も顎や歯にかかり続けると、咀嚼のための筋肉が過労状態に陥り、ひどく緊張します。
筋肉が硬くなると血流が悪くなり、耳周辺への血液供給も滞りがちになるため、そこから難聴や耳閉感が生じる可能性があります。
顎関節症

顎関節症は、口を開けるときに「カクカク」「パキッ」と音がしたり、顎に痛みを感じたり、口が開きにくくなったりする病気です。
顎関節症になると、関節内のクッション(関節円板)がずれたり、押しつぶされたりします。その結果、顎関節が耳を圧迫し、難聴、耳鳴り、めまいなどの症状が出ることがあります。
歯科医院で行う難聴・耳鳴りに対する3つのアプローチ
難聴があるときは、まずは耳鼻科を受診しましょう。耳や脳に問題が見られない場合には、歯科による治療を検討してください。耳鼻科の医師から、歯科医院に紹介されることもあります。
ここでは、歯科で行われる代表的な治療法をご紹介します。
噛み合わせの調整

噛み合わせのバランスが崩れている場合、歯の表面や被せものをほんの少しだけ削ったり、足したりして、正しい位置で噛めるように微調整を行います。
噛み合わせが正常な位置で安定すると、顎関節への負担が減り、耳への圧迫が軽減されます。
左右均等噛みの指導

歯科医院での治療と並行して、毎日の食事の仕方を改善することも非常に重要です。歯科医院では、「左右の奥歯を使って、同じくらいの力と頻度でバランスよく噛む」という指導を行います。
例えば「右で3回噛んだら、左でも3回噛む」といった意識を持つようにしていきます。研究では、左右均等噛みを指導された患者さんの聴力が向上したというデータもあります。
スプリント(マウスピース)療法

顎関節症や歯ぎしり・食いしばりが原因と考えられる場合、顎関節症の治療に用いるスプリントや、夜間の歯ぎしり・食いしばりを防ぐナイトガードと呼ばれる専用のマウスピースを作成します。透明なプラスチック製で、主に寝ている間に装着します。
マウスピースをつけることで、顎の関節にかかる強い力を歯列全体に分散させ、特定の場所に負担が集中するのを防ぐのが狙いです。顎関節が耳を圧迫しなくなることで、難聴や耳鳴りの改善につながることがあります。
治らない難聴は歯が原因かも?そんな時は歯科医院へご相談を

今回お伝えしたように、難聴は、耳そのものの問題だけでなく、噛み合わせのズレや歯ぎしり、顎関節症などのお口のトラブルが原因で引き起こされることがあります。
耳に不調を感じた際は、まず耳鼻科を受診することが最優先ですが、検査をしても原因が分からない場合や、治療を続けても症状が一向に改善しない場合は、お口の中に原因があるかもしれません。
耳鼻科に行っても治らない難聴や耳鳴りでお悩みの方や、今回のコラムをお読みになって気になる点がある方は、解決の選択肢の一つとして、町田駅すぐそばの町田歯科にご相談ください。
参考文献








