「よく噛むことが大切」と耳にしたことがある方は多いでしょう。また、「食べる時はよく噛んで」と、親御さんに言われたことがある方もいらっしゃるはずです。
実は、しっかりと噛んで食べることには、体にとって重要な要素が含まれています。
噛む回数が増えると、血糖値の急激な上昇を抑え、消化を促進させ、満腹感を得やすくなります。よく噛むこと(咀嚼)には、全身の健康面や美容にまで関わる多くのメリットがあるのです。
今回は、よく噛むことの効果や健康面での利点に加え、理想的な咀嚼回数や食事のコツについて解説します。
よく噛んで食べることのメリット7つ
よく噛んで食べることで得られるメリットは非常に多く、特に健康管理において重要な役割を果たします。
消化を助け、胃腸の負担を軽減する
食べ物をしっかり噛むことで、消化酵素と唾液がよく混ざり、胃腸での消化・吸収がスムーズになります。
特に炭水化物は、唾液に含まれるアミラーゼによって分解が始まるため、噛む回数が多いほど胃腸への負担が減ります。
満腹感を得やすくなる
よく噛むことで、脳の満腹中枢が刺激され、少ない量でも満腹感を得やすくなります。これは、噛む回数が増えることで、食後に分泌されるホルモンであるレプチンの働きが活性化し、必要以上に食べることがなくなるからです。
脳が満腹を感じるまでには時間がかかるので、早食いをしてしまうと、食べ過ぎてしまいやすくなります。
よく噛んで食べると、少量の食事でも満足感を得やすくなるため、過剰に食べることを防ぎ、結果的に摂取カロリーを抑えることにもつながります。また、DIT(Diet-Induced Thermogenesis:食事性誘発熱産生)が増加するので、食後のエネルギー消費も増えてくれます。
よく噛んで食べるのがダイエットにも良いと言われるのは、このような理由からです。
顎の発達を促し、歯並びにも良い影響がある
硬いものをしっかり噛むことは、顎の発達を促し、歯並びを整える助けにもなります。これは顎が成長過程にある小さなお子さんにとって大切なことです。
お子さんの歯並びについては、お子さんの歯並びを良くするには?やきれいな歯並びをつくるお子様のための矯正(小児矯正)のコラムで解説しておりますので、興味のある方は、併せてご参照ください。
また、逆に噛む習慣が減ると、仮に大人であっても、顎の筋力が衰え、歯並びが悪化する可能性がありますので、注意しましょう。
唾液の分泌が促進され、虫歯や歯周病の予防になる
よく噛むと唾液がたくさん分泌され、口腔内が清潔に保たれます。
お口を潤すだけじゃない!唾液の持つすごい働きとは?のコラムでもお伝えしましたが、唾液には、虫歯や歯周病を予防する抗菌作用や自浄作用があり、口臭の改善にも効果的です。
脳を活性化し、認知症予防にも役立つ
咀嚼は単なる食事の一部ではなく、脳を活性化する重要な運動でもあります。噛むことで脳の血流が増加し、記憶力や集中力が向上するともいわれています。
特に高齢者の方は、しっかり噛む習慣を続けることで、認知症の予防にもつながる可能性があります。日本は言うまでもなく超高齢化社会ですから、よく噛むことを意識することは大切です。
血糖値が安定する
よく噛んで食べることは、血糖値の急激な上昇を防ぐ助けにもなります。
食べ物をよく噛むことによって、消化酵素が唾液と一緒に分泌され、消化がスムーズに進みます。これにより、食べ物が胃に届く前にある程度分解され、糖分が血液に吸収される速度が緩やかになるのです。
血糖値の急上昇を防ぐことで、インスリンの分泌が安定し、体脂肪の蓄積を防ぐことにもつながります。
ストレス軽減やリラックス効果も
噛む動作にはリラックス効果もあります。ストレスを感じた時にガムを噛むと落ち着くことがあるように、咀嚼はセロトニンの分泌を促し、ストレスを和らげる効果があるとされています。
よく噛むための理想の回数と注意すべきポイント
よく噛むことのメリットを最大限に得るためには、一口につき30回程度噛むのが理想的です。
ただ、現代人の平均は10回以下と少なく、十分に噛めていない人が多いのが現状です。食べる時にはスピードを意識し、早食いを避けるようにしましょう。
早食いは、満腹中枢が働く前に食べ過ぎを引き起こしやすく、噛む回数も減ってしまうため、一口の量を少なめにして、噛む回数を増やすことを心がけてみてください。
日々の食事でこれらのポイントを意識しながら、「よく噛む習慣」を身につけることが、健康への第一歩となります。
「よく噛む」ためには「良い歯並び」が大切
「よく噛んで食べることが大切」とお伝えしてきましたが、実は、正しく噛むためには、良い歯並びが欠かせません。
歯並びが悪いと、噛み合わせがズレてしまい、一部の歯に過剰な負担がかかったり、食べ物をしっかりすりつぶせなかったりすることがあります。
また、噛み合わせの不良が原因で顎の動きが制限されると、噛む回数が自然と減ってしまい、咀嚼の効果を十分に得られなくなる可能性があります。
正しい噛み合わせのために矯正治療も選択肢に
前歯が噛み合わない開咬(かいこう:オープンバイト)や、下の歯が上の歯より前に出る反対咬合(はんたいこうごう:受け口)の場合、食べ物をしっかり噛み砕くことが難しくなることが多くなります。
良い歯並びを維持することで、噛む力を最大限に発揮でき、消化の促進や脳の活性化などのメリットを十分に得られるようになりますから、歯列不正が気になる場合は、歯科医院で相談し、矯正治療などの選択肢を検討することも必要です。
よく噛むことを習慣にする大切さ
お伝えしてきたように、「よく噛んで食べる」ことは、様々なメリットがある習慣です。
現代人は、忙しい生活の中で、どうしても噛む回数が減りがちですが、食事の際に「よく噛む習慣」を取り入れることで、健康や美容面でも良い影響が期待できます。
また、噛む力を最大限に活かすためには、良い歯並びを保つことが重要です。歯並びに問題を感じている方や、噛み合わせに不安がある方は、歯科医院で確認してもらい、場合によっては矯正治療を検討してみましょう。
町田歯科・矯正歯科では治療はもちろんのこと、良好な口腔環境を保ち、患者さんが快適な日常生活を送るためのお手伝いもいたします。食習慣や歯並びに関するお悩みがある方も、町田駅すぐそばの町田歯科・矯正歯科にお気軽にご相談ください。