矯正治療中、特にワイヤー矯正中は歯磨きが難しく、苦労された方もいらっしゃるのではないでしょうか?
近年普及してきたインビザラインなどのマウスピース矯正は、取り外しが可能になったことで歯磨きのしやすさが向上しましたが、従来のワイヤー矯正がなくなったわけではありませんし、比べてみよう!マルチブラケット矯正とマウスピース矯正のコラムでもお伝えしたように、マウスピース矯正だけでは対応できない歯並びもあります。
また、マウスピース矯正もアタッチメントという小さな突起物が歯についている場合などは、歯磨きの際に注意が必要です。
大切な矯正治療中の歯磨き
矯正治療中に虫歯や歯周病になってしまうと、せっかくの矯正治療を中断せざるを得なくなることもあります。だからこそ、矯正治療中の丁寧な歯磨きは非常に重要です。
そこで、矯正治療中の方にぜひご検討いただきたいのが、電動歯ブラシです。今回は、矯正治療中の電動歯ブラシの使用についてご紹介します。
電動歯ブラシの種類
手軽に効率よく歯を磨けると人気の電動歯ブラシですが、様々な製品があって、どれを選べば良いか迷ってしまうこともありますよね。
現在、店頭でよく見かける電動歯ブラシは、大きく分けて音波式と回転式の2つのタイプが主流です。この他にも超音波式と呼ばれるタイプもあります。
音波式
音波式は、歯ブラシのヘッド部分(毛先がついているところ)が、左右または上下に細かく高速で振動します。この高速振動がお口の中の唾液や歯磨き粉と混ざり合い、音波水流と呼ばれる微細な水の流れを作り出します。
毛先が物理的に振動して汚れを落とすことに加え、この音波水流によって、ブラシの毛先が直接届きにくい歯と歯の間や、歯と歯茎の境目に溜まった歯垢にもアプローチし、きれいに洗い流してくれます。
パナソニック(ドルツシリーズなど)やフィリップス(ソニッケアーシリーズなど)が、このタイプです。
回転式
回転式は、ヘッドにある円状に配置された毛先部分がクルクルと高速回転し、この回転力で歯の汚れを取り除く電動歯ブラシです。
ブラシの回転する力で、歯の表面に付着した歯垢を物理的にこすり取るイメージですね。歯を1本1本包み込むようにフィットさせながら磨くのが特徴です。
ブラウン(オーラルBシリーズなど)が、このタイプの代表的なメーカーとしてよく知られています。
矯正治療時に使うなら音波式がおすすめ
冒頭でも触れたように、矯正治療中は、歯にブラケットやワイヤーといった装置が付いているため、歯磨きが複雑になって時間もかかり、矯正装置の周りは特に汚れが溜まりやすいので、虫歯や歯周病のリスクも気になります。
電動歯ブラシは、そんな矯正治療中の歯磨きを効率良くサポートしてくれる便利なアイテムですが、実はどのタイプを選ぶかによって、使い勝手や適性が少し異なります。
一般的な歯磨きであれば、音波式・回転式のどちらを選んでも、それぞれの利点を活かすことができます。しかし、矯正装置が付いているお口のケアという点では、音波式の電動歯ブラシがおすすめです。
お伝えしたとおり、音波式はブラシのヘッド部分が直線的に細かく振動するものが主流です。この動きは、複雑な形をしたブラケット、ワイヤーなどの凹凸にブラシの毛先が引っかかりにくいという特長があります。
矯正治療中に電動歯ブラシを使うメリット
より具体的に、矯正治療中の歯磨きに電動歯ブラシを使うメリットを挙げていきましょう。
矯正装置の周囲もきれいにしやすい
電動歯ブラシは、ヘッド部分が様々なタイプに交換できます。矯正装置に適したヘッドを選ぶことで矯正装置の周囲も効率良くきれいに磨けます。
疲れにくい
矯正装置の周りを磨く時は、普通の歯磨き以上に気を使うので、どうしても疲れるものです。
電動歯ブラシの本体は、手で磨く歯ブラシより重いのですが、力を入れずに軽く当てるだけで良いため、結果的に腕や肩への負担が少なく、楽に歯磨きを続けやすいと感じる方が多いでしょう。
短時間で磨ける
矯正治療中は、歯磨きが難しくなるので、歯磨きの時間が長くなりがちです。
電動歯ブラシは効率良く歯を磨くことができるので、普通の歯ブラシより短い時間できれいに磨けます。
多機能で矯正治療後も長く活用できる
電動歯ブラシの用途は、矯正期間中のケアだけではありません。多くの製品には、通常の歯磨きモード以外にも着色汚れ落とし、歯肉のマッサージ、舌のケアなどがあり、矯正治療後も長く使えます。
電動歯ブラシを使うデメリットは?
ただ、電動歯ブラシにデメリットがないわけではありません。
初期費用とランニングコストがかかる
やはり一番の難点はコストでしょう。電動歯ブラシは本体はもちろん、各種ヘッド類も、手で磨く歯ブラシより高価です。
電動歯ブラシを購入する費用も、使い続ける費用も高いため、普通の歯ブラシと比べるとコストがかかります。
電池やバッテリーの消耗に注意が必要
電動歯ブラシは文字どおり電気で動きますから、電池やバッテリーがなくなると使えません。
大きな手間ではないものの、特に充電タイプは電池が切れてしまうと、一定時間充電しないと使えないので、忘れずにきちんと充電しておく必要があります。
使用感に慣れが必要な場合がある
手で磨く歯ブラシとは異なり、電動歯ブラシには特有の振動や動作音があります。また、本体も手で磨く歯ブラシよりも重いため、最初は使用感に少し戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、ほとんどの場合、使い続けるうちに慣れてきます。
矯正治療中に電動歯ブラシを使う際のポイント
電動歯ブラシの効果を十分に引き出し、トラブルを防ぐためには、いくつか押さえておきたい使い方のポイントがあります。
矯正装置に引っかからないようにする
ブラケットやワイヤーなどは凹凸が多く、電動歯ブラシの毛先が引っかかりやすい箇所です。無理に動かすとブラシの毛先が傷んだり、最悪の場合、矯正装置が歪んだり、外れたりする原因にもなりかねません。
矯正装置の細かい部分には、電動歯ブラシの毛先が引っかからないように注意してください。矯正装置の付近をケアするなら、毛先が細いブラシにするのがおすすめです。
手を動かさない
電動歯ブラシの最大の利点は、ブラシ自体が高速で振動したり、回転したりして、効率的に汚れを除去してくれる点にあります。
手で磨く歯ブラシのように、ゴシゴシと手を動かしてしまうと、電動歯ブラシ本来の動きを妨げてしまい、かえって清掃効果が落ちてしまう可能性があります。電動歯ブラシで歯を磨く時は、手を動かさないようにしましょう。
強く当てすぎない
電動歯ブラシは、軽い力で歯に当てるだけで、十分に汚れを落とせるように設計されています。
強く押し付けすぎると、歯の表面(エナメル質)や歯茎を傷つけてしまうリスクがあります。特に矯正治療中は、歯や歯茎が敏感になっていることもあるため注意が必要です。
歯の間の清掃には歯間ブラシを
電動歯ブラシは効率良く歯を磨けるのですが、普通の歯ブラシと同じく、歯と歯の間の清掃はあまり得意ではありません。ワイヤー矯正のように矯正装置がついている場合はなおさらです。
歯と歯の間は電動歯ブラシだけに頼らず、歯間ブラシも使う方が良いでしょう。また、ウォーターピックという水で汚れを洗い流す歯のケア用品もあります。これらを電動歯ブラシに組み合わせると、より効果的に歯をきれいにすることができます。
歯間ブラシについては、使っていますか?デンタルフロスや歯間ブラシのコラムで詳しく解説していますので、併せてご参照ください。
矯正中の歯磨きをもっと効果的にしよう
今回は、矯正治療中の電動歯ブラシの利点についてお話ししました。矯正治療を経験された方の多くが、装置に食べ物が挟まったり、細かな部分が磨きにくかったりと、オーラルケアの難しさを感じています。
どうしても矯正装置の周りは歯垢が溜まりやすく、虫歯や歯茎のトラブルが起こりやすい環境になります。そんな時は、今回のコラムを参考に、電動歯ブラシを使ってみるのも有効です。
町田歯科・矯正歯科では、日本矯正歯科学会の認定医が、矯正治療中の虫歯や歯周病のリスクを少しでも減らし、快適に治療期間を過ごせるようにサポートいたします。
また、「自分に合った電動歯ブラシを知りたい」「正しい使い方を教えてほしい」といったご興味やご質問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。矯正治療中のケアや、電動歯ブラシについてのご相談についても、町田駅すぐの町田歯科・矯正歯科へお気軽にお問い合わせください。