虫歯が歯の内側にある歯髄(しずい)まで進んだ場合、歯髄を除去し、詰めものをする根管治療(こんかんちりょう)を行います。

根管治療の頻度は高いのですが、歯の内部はなかなか見えづらいために、とても難しい治療の一つに挙げられています。
そこで近年注目されているのが、マイクロスコープを使った根管治療です。最新の設備の下、患者さんの治療に当たることをモットーとする町田歯科では、もちろんマイクロスコープを導入しています。

このマイクロスコープは見たい治療箇所を20~30倍に拡大することができ、今まで見えなかった根管治療に大きな変革をもたらしました。今回は、そんなマイクロスコープを使った根管治療についてご紹介します。
根管治療について
冒頭でも触れた根管治療ですが、再度ご説明しましょう。まず、下図の歯の構造をご覧ください。

歯の内部には歯髄という神経や血管が集まったものがあります。そして、この歯髄が収まっている部分が根管であり、根管に対して行われる治療の総称を根管治療といいます。
抜髄(ばつずい)
抜髄(ばつずい)とは、歯髄を取り除く処置のことです。もう一度根管治療の流れの図を引用しましょう。

抜髄は図でいうと2番目の処置にあたります。虫歯が歯の奥深くにまで進み、その原因菌が歯髄に感染し、炎症を起こした際に抜髄が行われますが、ケガで歯が深く欠けた時などにも行います。
まだ歯髄が生きている状態なので、そのまま治療をすると痛みを伴います。そのため、抜髄は麻酔をしてから行うことから、麻酔抜髄(ますいばつずい)略して麻抜(まばつ)とも呼ばれます。
感染根管治療

壊死した歯髄を除去し、根管内部を清掃するために行うのが感染根管治療です。ケガなどにより歯髄が壊死した歯(これを失活歯:しっかつし と呼びます)に対しても行われます。
再根管治療
再根管治療とは、根管治療を終えた歯が、細菌に再感染した場合に行われる根管治療です。
上の図のとおり、根管治療では、歯髄を除去した後に、根管内部を薬剤で埋める根管充填(こんかんじゅうてん)を行いますが、これが不十分だと、隙間から細菌が入り、再度感染が広がることがあります。
この際、再根管治療を行い、充填物を外し、もう一度根管内を消毒・清掃する処置をします。
根管治療を成功させるポイント
汚染組織の完全な除去

根管治療が必要になった根管内部には、汚染された組織が残っています。これらが少しでも残っていると、そこから再度細菌感染が生じてしまいます。
そこで、根管治療ではファイルやリーマーという器具を使って、根管内部から汚染組織や充填材を丁寧に取り除いていきます。
根管治療を成功させる第一のポイントは、汚染された組織や充填材などを完全に除去することになります。
根尖(こんせん)までの確実な根管充填

お伝えしたように、根管治療の最終段階は、根管充填という根管内部を根管充填材で満たす処置になります。
根管内部から汚染された組織などを除去できても、根管内部を隙間なく根管充填できなければ、隙間で細菌が繁殖し、また細菌感染を起こしかねません。
根尖(こんせん)という歯根の先端部分まで隙間なく根管充填することも、根管治療を成功させるために欠かせません。
マイクロスコープを使うメリット

ではここからは、マイクロスコープを使った根管治療のメリットについて説明します。
根管口が見つけやすい

根管口とは、根管の入り口です。根管口からファイルやリーマーなどの器具を入れて根管治療を進めていくのですが、根管口が見つからないことには根管治療に取りかかることができません。
ところが、根管が狭くなっていると、見えやすい前歯でも根管口を見つけるのは困難になります。また、大臼歯では根管が何本もあるので、見落としてしまうこともあります。
マイクロスコープを使えば、見えにくい根管口でも見つけやすくなるというメリットがあります。
根管治療の精度が高まる

根管治療に限らず、見えないところの治療は、歯科医師の指先の感覚や、経験に基づいた勘に頼っているのが実情です。
マイクロスコープを使うと、今まで見えなかったところが見えるようになります。根管内部の汚染組織や汚染充填材の取り残しも減りますし、根管充填もより一層しっかりと行えます。
再治療の可能性が低くなる
根管治療がきちんとできていなければ、根管内に細菌感染が再発する可能性が高くなります。細菌の再感染が起これば、先述の再根管治療が必要になります。
ただ、その度に歯を削ることになるため、歯は次第に小さくなっていきますので、再治療はしないに越したことはありません。
マイクロスコープの導入により、根管治療の精度が高まると、再治療となるケースを少なくできるというメリットも得られます。
歯を削る量を減らせる

マイクロスコープを使って歯を観察すると、虫歯のところとそうでないところも見分けやすくなります。
虫歯以外の箇所はなるべく削らない方が、歯への負担が減りますから、その方が良いことは言うまでもありません。
マイクロスコープを使えば、虫歯以外のところを過剰に削ることが減り、歯を最大限残せるようになります。
マイクロスコープを使うデメリット
マイクロスコープを使った歯科治療にも、多くはないのですが、デメリットがあります。
全ての歯科医院で導入できるわけではない

マイクロスコープは、なかなか高額な歯科医療機器です。どこの歯科医院にも簡単に導入できないのが、まず挙げられるデメリットです。気になる方は、かかりつけの歯科医院に尋ねてみると良いでしょう。
冒頭でお伝えしたように、町田歯科ではマイクロスコープを導入しておりますので、安心してご相談いただければと思います。
原則として自費診療になる
現在、マイクロスコープを使った歯科治療の適応範囲は限られており、原則として自費診療です。マイクロスコープを使用した根管治療は、
保険適用となるケース
自費診療となることが多いマイクロスコープによる治療ですが、以下のようなケースに限り、保険の適用が認められています。
- 奥歯(大臼歯)の根管充填処置で、根管が3本以上ある場合
- 治療中に根管内に器具(ファイル・リーマー等)
が残った際の除去処置 - 一部の根管内異物除去など
これらの条件に該当しない場合は、マイクロスコープを使用した際に保険は適用されません。
町田歯科はマイクロスコープを使用した精緻な根管治療を行います

今回は、マイクロスコープを使った根管治療についてお話ししました。根管治療にマイクロスコープを使うと、従来では見えなかったところが見えやすくなり、根管治療の精度が高まります。
当院は、マイクロスコープを導入し、より精密で、予後の良い根管治療を提供しております。もちろん、保険診療・自費診療の違いも丁寧にご説明したうえで、
根管治療を続けても歯の痛みが取れない方や、何度も根管治療を繰り返したくない方は、町田駅そばの町田歯科にぜひお越しください。