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矯正歯科

便宜抜歯(べんぎばっし)とは?

歯科治療では、虫歯や歯周病、親知らずの炎症など、様々な理由で歯を抜く場合があります。

実は、歯並びを整える矯正歯科でも抜歯をすることがあります。この矯正治療での抜歯を便宜抜歯(べんぎばっし)といいます。

歯並びをきれいにするのに、歯を抜いて減らすと言うと、違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、もちろん抜歯が必要な理由があるのです。今回は、そんな便宜抜歯についてお話しします。

便宜抜歯とは?

それでは便宜抜歯という処置について説明していきましょう。

どうして『便宜』抜歯なのか

『便宜(べんぎ)』という言葉の意味は「ある目的にとって便利が良いこと」と辞書に書いてありますが、矯正治療を進めるうえで便利が良い抜歯ということから、便宜抜歯と名付けられたと考えられます。

もちろん便宜抜歯という言葉は、口腔外科学の教科書にも抜歯の種類の一つとして掲載されていますので、正式な処置名です。

便宜抜歯が必要となる歯並び

前から数えて5番目の歯を第二小臼歯といいます。そして右から左の第二小臼歯までの歯の横幅を合計した値と、歯を並べる顎のスペースを比較します。

右から左の第二小臼歯までの歯の横幅を合計した値と、歯を並べる顎のスペースを比較

歯の横幅の合計値の方が、顎の大きさよりも大きければ、歯をきれいに並べることができません。このような状態をアーチ・レングス・ディスクレパンシー(Arch length discrepancy)といいます。

ちょっと難しい横文字が出てきましたが、簡単に言うと「歯の大きさと顎の骨のバランスが取れていない状態」のことです。一般的にアーチ・レングス・ディスクレパンシーが10mm以上となれば便宜抜歯が必要とされます。

なお、子供さんの場合は、顎の骨格は成長発育を通して大きくなるので、抜歯ではなく顎の骨格を大きくする方向で矯正治療を進める場合もあります。

便宜抜歯の目的

便宜抜歯の第一の目的は、歯を並べるスペースの確保です。大人の場合は、顎の骨格を大きくすることはできないので、抜歯をして歯の数を減らし、横幅の合計値を小さくするわけです。

顎の骨格の大きさが変わらなくても、歯を並べるために必要なスペースが減少するので、歯をきれいに並べることができるようになります。

抜歯する歯の選び方

便宜抜歯の対象となる歯は、見た目や噛み合わせに影響しにくい歯です。一般的には、第一小臼歯という前から4番目の歯、もしくはその後ろの第二小臼歯が選ばれます。

小臼歯を抜歯する理由としては「前歯のように見た目に影響しない」、「大臼歯という小臼歯の後の奥歯ほど抜歯が難しくない」、「大臼歯のように強く噛めない歯だから」などがあります。つまり、抜歯をした際の影響が少ない歯を選ぶことになります。

第一小臼歯と第二小臼歯のどちらを選ぶかは、詰めものや被せものがしてある歯や、神経の治療を受けた歯など、治療を受けたことがある歯を優先することが多いです。このほか、親知らずを抜歯することもあります。

便宜抜歯のメリット

便宜抜歯のメリット

では便宜抜歯を受けると、どのようなメリットがあるのでしょうか。順を追ってご説明します。

歯を並べる余裕ができる

便宜抜歯の一番のメリットは、歯を並べるスペースを余裕を持って得られるという点です。

ギリギリのところで歯を並べると、歯がきれいに収まらないだけでなく、顎の骨から飛び出してしまうこともあります。便宜抜歯をすれば、そのようなことはなく、歯並びをきれいに整えられます。

矯正治療を効率的に進められる

上記のとおり、便宜抜歯をすると歯並びに余裕ができるので、歯を移動させやすくなります。

歯の移動がスムーズに行えるならば、治療計画も立てやすく、無理なく矯正を進めることができます。つまり、治療を効率的に行えるようになります。

横顔がきれいになる

抜歯せずに歯並びを整えようとすると、前歯がかなり前に出てしまうことがあります。前歯が前方に出ると、口元の出っ張った横顔になってしまいます。

横顔の3分類

便宜抜歯をすると、前歯が過度に前方に出ることがないので、横顔もきれいになります。歯科矯正とフェイスラインの関係については、歯並びや骨格が決める!?お顔の印象のコラムで詳しく解説していますので、ご参照ください。

便宜抜歯のデメリット

便宜抜歯のデメリット

もちろん便宜抜歯にはメリットだけでなく、デメリットもありますので、お伝えしていきましょう。

歯が減る

当然のことなのですが、やはり抜歯を受けると歯の本数自体は減ってしまいます。

歯にはそれぞれに役割があり、便宜抜歯をすると健康な歯を失ってしまいますので、そのぶん歯の役割も低下します。

しばらくの間、隙間ができる

便宜抜歯を受けると、矯正が終わるまでという期限はあるものの、抜歯した部分に隙間ができます。

矯正治療によって歯を移動させ、やがて隙間は埋まることになりますが、しばらくの間、歯並びに隙間が生じ、歯磨きをしっかりしないと虫歯や歯周病のリスクが高くなります。

後戻りの可能性

抜歯した箇所は、矯正治療を終えた後、しばらくすると、ごくわずかですが隙間ができやすいので、後戻りを防ぐ保定処置をしっかりしておく必要もあります。

保険診療ではない

矯正治療用の便宜抜歯は、通常の抜歯と異なり、保険診療の対象ではありません。したがって、普通の抜歯よりは治療費が高くなります。

便宜抜歯の特徴を理解しておきましょう

今回は、矯正治療で行う便宜抜歯についてお話ししました。現在の矯正治療では、歯をきれいに並べるスペースが足りない場合、歯を抜いてスペースを確保する方法を採ることがあります。

また、町田歯科の矯正情報特設サイトで詳しく解説していますが、特に乱杭歯(らんくいば)や八重歯のような歯並びの方は、便宜抜歯が必要になるケースが多いです。

乱杭歯(らんくいば)や八重歯のような歯並びの方は、便宜抜歯が必要になるケースが多い

お話ししてきたように、便宜抜歯を受けると、歯をきれいに並べることができ、横顔も整うといったメリットもありますが、歯の本数が減る、歯に隙間が生じる、自費診療であるといったデメリットもあります。

このメリットとデメリットをしっかりと勘案したうえで、便宜抜歯を行うかどうかを見極めるのが大切です。町田歯科には、日本矯正歯科学会の認定医と、マウスピース矯正の治療経験が豊富な歯科医師が在籍しておりますので、便宜抜歯について詳しく知りたい方は、お気軽に町田歯科にご相談ください。

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