町田歯科では、最近インプラント治療を希望される患者さんが大変多くなってきました。そこで、インプラントについてコラムでも集中的に解説してきましたが、いざ、インプラント治療を受けようと思っても、歯肉を切開する外科手術を伴うと聞くと、二の足を踏んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そのような方におすすめなのが、フラップレス(歯肉を切開することのない)インプラント治療です。
町田歯科では、約半数の方がフラップレスのインプラント治療を受診
町田歯科では、インプラントを希望される患者さんの約半分ほどが、フラップレスのインプラント治療を受診します。詳しくは後述しますが、フラップレスのインプラント治療は、時間もかからず、身体への負担も少ないので、痛みや腫れも起こりづらいというメリットがあり、患者さんから人気を博しています。
今回は、そんなフラップレスによるインプラント治療の方法や特徴についてご紹介しましょう。
フラップレスのインプラント治療とは
歯肉に小さな穴をあけてインプラントを埋入
冒頭でお伝えしたフラップレスという言葉ですが、フラップとは「切開されて骨からめくられた歯肉」を指しており、フラップレスは歯肉を切開しないことを意味します。
ではどのようにインプラントを埋め込むかというと、フラップレスのインプラント治療では、歯肉に小さな穴をあけ、そこからインプラントを埋入するのです。
このため、フラップレスのインプラント治療は、通常のインプラント治療と手順が異なります。まずは分かりやすくするために、通常のインプラント治療の手順と比較してみましょう。
手順の比較
通常のインプラント治療の手順
通常のインプラント治療は歯肉の切開を伴います。基本的には以下のようなフローとなります。
局所麻酔 | インプラントを埋め込む部位に局所麻酔注射をします。 |
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歯肉の切開 | インプラントを埋め込む部分を中心に、歯肉にメスで切開を入れます。 |
フラップの形成 | 剥離子(はくりし)という機器を使って、切開したところから歯肉を骨から剥がし、フラップを作ります。 |
ドリルでの穴あけ | 歯肉を剥離すると骨が露出しますので、そこにインプラントを埋める穴をドリルで開けます。 |
インプラントの埋入 | ドリルで開けた穴にインプラントを埋め込みます。 |
縫合 | 切開したフラップ(歯肉)を元の位置に戻し、縫って閉じます。 |
手順の中に出てきた剥離子は以下の写真のような機器です。粘膜や骨膜組織の剥離に使うもので、これを用いてフラップを作ります。
フラップレスのインプラント治療の手順
続いて、フラップレスのインプラント治療のフローです。先述のとおり、歯肉の切開の工程はなく、サージカルガイドで位置を合わせて歯肉に小さな穴をあけ、そこからインプラントを埋入します。
局所麻酔 | インプラントを埋め込む予定の部位に、局所麻酔の注射をします。 |
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歯肉の穴あけ | サージカルガイドで位置を合わせ、インプラントを埋め込む部位に歯肉パンチで穴を開けます。 |
骨の穴あけ | 歯肉の穴から、インプラントを埋め込むための穴を骨に開けます。 |
インプラントの埋入 | ドリルで開けた穴にインプラントを埋め込みます。穴は自然に塞がるため、縫合の必要はありません。 |
通常のインプラント治療の手順と比較していただくと、フラップレスのインプラント治療の方が手順が少ないのがお分かりいただけると思います。手順が少ない分、時間もかからず、また、歯肉にあける穴が小さいので、通常のインプラント治療のような縫合が必要ないのも特徴です。
時間もかからず痛くない、町田歯科のフラップレスインプラント
町田歯科の場合、インプラントの臨床経験25年以上という、熟練の技術を持つ専門の歯科医師が、サージカルガイドすら必要とせず、手術を行うことができるので、フラップレスのインプラントを1本埋入するのにかかる時間は、おおよそ5分ほどという短時間で済みます。
通常のインプラント治療と比べると、5分の1程度の時間で済むため、患者さんの身体的負担(侵襲性といいます)が少なく、結果的に痛みや腫れも少なくなります。
もちろん骨の状態等にもよるのですが、フラップレスのインプラント治療を受けた患者さんは、術後に痛み止めを1錠飲む程度で、以降は痛みも腫れも全くないという方がほとんどです。
フラップレスのインプラント治療のメリット
侵襲性(しんしゅうせい)の低さ
では、より具体的にフラップレスのインプラント治療のメリットをご説明していきましょう。まずは上で出てきた侵襲性の少なさがメリットとして挙げられます。
侵襲性(しんしゅうせい)とは、分かりやすく言うと、手術によって身体が受けるダメージのことです。どのような手術であっても、身体に傷が入りますので、侵襲が全くゼロというわけにはいきません。これはインプラント治療でも同じです。
しかし、通常のインプラント治療と比べると、フラップレスのインプラント治療は歯肉切開が必要ない分、傷が小さくて済むので、より侵襲の少ない治療だと言えます。
術後の炎症反応の低さ
どのようなものであっても、手術を受けると、痛みや腫れ、熱などの炎症反応が現れます。なぜなら、炎症反応は身体が受けた傷を治そうとする防御反応だからです。
一般的に、手術後の炎症反応の強さは、手術の侵襲の大きさに比例します。当院の患者さんの実例でもお伝えしたように、侵襲の少ないフラップレスのインプラント治療ならば、術後の痛みや腫れなどの炎症反応を低く抑えることができます。
出血しにくい
通常のインプラント治療では、歯肉切開した箇所を縫合して閉じますが、切開する以上、出血のリスクがないわけではありません。一方、フラップレスのインプラント治療は歯肉を切開しないので、出血のリスクがほとんどありません。
治療時間が短い
先ほど治療の流れをご説明しましたが、フラップレスのインプラントは、歯肉の切開や剥離、縫合がない分、治療時間が短くて済みます。
また、お伝えしたように侵襲性も低いため、通常のインプラント治療と比べると、治療後の治りも早い傾向があります。
フラップレスのインプラント治療のデメリット
フラップレスのインプラント治療には、上記のように多くのメリットがあるものの、もちろんデメリットもあります。以下でお話ししていきましょう。
骨の状態を判別しづらい
通常のインプラント治療では、歯肉を切開してフラップを作るので、インプラントを入れる部分の骨の状態を、直接目視することができます。
骨の状態はインプラントの成否に関わる重要な要素ですが、CTなどの画像情報だけでは計り知れない部分もあるため、目視で確認できるのは大きなメリットになります。
ところが、フラップレスのインプラント治療は、歯肉パンチで小さな穴をあける方法を採るので、骨の状態を直接見ることができません。骨の状態を知るのに、指先など、目以外の感覚に頼らざるを得ないのが、フラップレスのインプラント治療の難点です。
インプラントを埋入する向きが分かりにくい
手順の部分でご説明したとおり、フラップレスのインプラント治療では、サージカルガイドを使ってインプラントの向きを合わせつつ治療を進めます。
ただ、歯肉の上から方向を見定めなければならないので、インプラントを埋入する向きに加え、深さもわかりにくいという難しさがあります。こうした点からも、フラップレスのインプラント治療は難易度が高いとされています。
治療費が高額になる
フラップレスのインプラント治療は、技術的な難易度が高いので、治療費はどうしても通常のインプラントより高額になります。
適応できないケースもある
インプラント治療を行おうとしている部分の骨や、歯肉の状態によっては、通常のインプラント治療の方が適していることもあります。このような場合は、フラップレスのインプラント治療ではなく、通常のインプラント治療を選択します。
また、お口を大きく開けるのが辛い方は、サージカルガイドを入れるのも難しくなるので、フラップレスのインプラント治療はおすすめできません。
通常のインプラント治療に切り替えることも
インプラント治療前の検査では、フラップレスのインプラント治療ができると思われても、実際に処置を進めると、通常のインプラント治療の方が適していると判明することもあります。
そのような状況では、フラップレスのインプラント治療を中止して、通常のインプラント治療に切り替えることになります。
ちなみに、通常のインプラント治療を行っている途中で、フラップレスのインプラント治療に切り替えることはありません。
患者さんに合ったインプラント治療の手順を選択
今回は、フラップレスのインプラント治療の手順や特徴について解説しました。歯肉を切開しないフラップレスのインプラント治療は、通常のインプラント治療よりも体への負担が少なく、治療時間も短くできます。
お話ししたとおり、町田歯科では、フラップレスのインプラント治療のメリットを活かし、より侵襲が低く、患者さんの身体的・精神的負担が少ないインプラント治療を行っています。
ただ、お伝えしたように、フラップレスのインプラント治療は全ての患者さんに適応できるわけではありません。一般的には、通常のインプラント治療の方が多く行われます。
やはり大切なのは、患者さん一人一人に最適なインプラント治療の方法を選ぶことです。町田歯科では、常に患者さんへのカウンセリングを重視し、しっかりとしたご説明の下、それぞれの患者さんに合った治療法をご提案していますので、フラップレスのインプラント治療にご興味がある方も、当院でお気軽にご相談ください。