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顎関節症

顎関節症を放置するとどうなる?

年齢を問わず、顎を動かす時に音が鳴る方や痛みのある方、口を大きく開けられない方など、顎の症状を訴える患者さんを多く見かけます。

もちろん町田歯科では顎関節症の診療も行っていますが、症状の程度も様々で、人それぞれ異なりますが、気付くと症状が落ち着いていることもあり、あまり気にされない方もいらっしゃいます。

しかし、顎関節症を放置すると、単に顎の痛みや違和感だけでなく、歯の痛みや頭痛の原因になるとも言われており、日常生活に影響しかねません。やはりしっかりとした治療が必要です。そこで今回は、あまり知られていない顎関節症にターゲットを絞ってご紹介いたします。

そもそも顎関節症ってなに?

顎関節症とは、顎関節や周囲の筋肉の痛み、動かした時の雑音、開口障害や運動障害を含めた包括的診断名で、少なくとも1つ以上の症状が出ている状態を指します。

健康な顎関節では雑音はなく、動かしても不快症状を感じることはありません。そもそも上顎と下顎は直接つながっておらず、上顎に対して筋肉でぶら下がっているような構造になっており、それゆえに下顎を上下左右自由に動かすことができます。

関節円板と周囲の骨の構造

上顎の骨と下顎の骨の間には関節円板(かんせつえんばん)と呼ばれる軟骨のクッションがあり、これが下顎の骨と連動して動くことで、音や痛みを感じずに下顎を動かせます。

この関節円板が何らかの影響で擦り減ったり、位置がズレたりすると雑音や痛みにつながり、顎関節症となります。その原因には外傷、咬み合わせ、頬杖等の習癖、ストレスなど様々あり、いくつかの要因が重なって発症すると言われています。

顎関節症は腰痛のようなものと捉えるとイメージしやすく、そのように説明をすることがあります。腰痛も、普段の姿勢や重い物を持った時などの腰への負担、転倒やぶつかったりした時の外傷など「生活習慣も含めた様々な腰へのダメージ」が蓄積され、発症すると言われます。

顎関節症も「生活習慣も含めた様々な顎へのダメージ」が蓄積されて発症するとされています。このように、原因を一つだけに決められない疾患のことを多因子疾患と呼びます。原因が一つではないので、単純にこれを直せば顎関節症が治るといったものではありません。

顎関節症の治療とは?

セルフケア

顎関節症のセルフケア

ご自宅でもできる簡単な方法として、セルフケアが挙げられます。町田歯科で指導しているセルフケアは、大きく分けて4つあります。

  1. 習癖の改善
  2. 歯列接触癖(TCH:Tooth Contact Habit)の改善
  3. 開口訓練
  4. 咀嚼筋(咬筋など)のマッサージ

まず習癖の改善です。うつぶせ寝や頬杖など、外側から顎に力のかかることは避けましょう。

また、日常的に上下の歯を咬みしめてしまう癖を歯列接触癖(しれつせっしょくへき, TCH:Tooth Contact Habit)と呼び、顎関節症患者さんの多くの方にはTCHが見られるという報告もあります。

この癖がある方は、それだけで顎の負担が増えてしまいますので、普段から上の歯と下の歯を触れさせないように意識しましょう。

TCHを改善するために、トイレやリビングなどの生活空間に「歯を離す!」などと書いたポストイットをベタベタ貼り、意識づけをしてTCHを改善させる『ポストイット法』という方法も、一見冗談のようですが、実際の治療として大学病院などで行われています。

開口訓練とは、開きづらくなった口を、指などを使って少し大きく開けられるように、リハビリをする機能療法の一つです。また、咬筋や側頭筋といった咀嚼筋(そしゃくきん)と呼ばれる箇所をマッサージすることで改善する場合もあります。これらに関しては、歯ぎしりや食いしばりの種類と治療法のコラムでも解説していますので、ご覧ください。

セルフケアで改善が見られない場合

これらのセルフケアで改善が見られない場合は、習癖の改善だけではなく、顎関節症に対する咬み合わせの治療を併用します。

ここで大事なことは、咬み合わせの治療は第一選択ではないということです。先ほども述べたとおり、顎関節症は様々な要因が組み合わさった多因子疾患であり、咬合調整(こうごうちょうせい)や矯正治療などによる不可逆性の治療は、場合によっては顎関節症を悪化させる場合もあるため、注意が必要です。

「一度咬み合わせを変えると、元に戻すことは大変難しい」ということは、治療する上で大事なポイントです。

咬み合わせを治す方法

咬み合わせを治す方法

咬み合わせを治す方法は、一般的に3つあり、歯並びから治して咬み合わせを整える歯科矯正、歯を少しずつ削って力のバランスを整える咬合調整(こうごうちょうせい)、歯ぎしりや食いしばりから歯を守るマウスピース治療が挙げられます。

歯科矯正

咬み合わせが悪い原因の1つに、歯並びの影響が挙げられます。凸凹な歯並びにより、強くぶつかっている歯や咬み合わない歯など、個々の歯にかかる力がバラバラになりやすく、程度によっては食べ物を上手にすりつぶせないため、顎をより多く動かすことになってしまい、顎の負担が増します。

歯科矯正では、歯並びはもちろん、個々の歯の位置を治し、力のバランスを整えます。他の方法に比べ、歯を削ることなく原因にアプローチできますが、保険適応外診療のため、費用もかかり、長い期間を要します。詳しくは町田歯科の矯正情報特設サイトでもご説明していますので、併せてご参照ください。

咬合調整(こうごうちょうせい)

歯並びが整っていても、前歯が咬み合っていなかったり、力のバランスが整っていない場合があります。歯科矯正の場合、治療は長期間になりますが、期間をなるべく短くする方法として、歯を少しずつ削る咬合調整(こうごうちょうせい)があります。

咬合調整とは、コンマ数ミリほど歯を削ることで、強くぶつかっていた力が弱まり、他の歯に分散させることでバランスを整える治療法です。

この調整を行うことで、削った部分のむし歯や知覚過敏のリスクが高まることはありませんが、ほんのわずかとはいえ、ご自身の天然の歯を削ることがデメリットとして挙げられます。

マウスピース治療

他の2つの方法に比べ、対症療法になりますが、費用や期間をかけず、歯を削らない方法として、マウスピース治療も行えます。

寝ている時の歯ぎしりや食いしばりは、通常起きている時の咬む力の3倍近い力がかかると言われており、歯はもちろん、顎の負担も増えてしまいます。

普段はそのような意識はなくとも、朝起きた時に、顎や頬に痛みや張りを感じるようであれば、歯ぎしりや食いしばりを行っているサインです。寝ている時にマウスピースをつけることで、お口周りの負担を減らし、顎の負担を軽減します。

就寝時に装着するマウスピースを「ナイトガード」と呼びますが、ナイトガードについては、寝ている時の歯を守るマウスピース(ナイトガード)でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

顎関節症を放置するとどんなリスクがあるの?

顎関節症を放置するとどんなリスクがあるの?

顎関節症の症状には、開閉口時の雑音や痛みを伴うことが一般的ですが、一過性で激しい症状を伴わないことも多く、慣れてしまいがちなので、見過ごされてしまうこともあります。

上述のとおり、主に関節円板というクッションのズレによる症状なので、咬み合わせや癖などの原因を取り除き、ズレを補正することが必要です。

症状に気付かず、クッションがズレたままになってしまうと、知らず知らずのうちにズレが大きくなり、口が開けにくくなったり、食事の際に顎が疲れやすかったりと、日常生活に支障をきたす場合もあります。

顎に違和感を感じた際には、悪習癖があれば改善に取り組み、なるべく早期にかかりつけの歯科医に相談しましょう。

顎関節症を見過ごさないで

顎関節症の患者さんはその程度を問わず、多くいらっしゃいます。決して稀な疾患ではなく、正しい治療を受けることで改善、あるいは悪化を防ぐことができます。

町田歯科の顎関節症診療では、顎関節症学会の治療ガイドラインに準じた治療プログラムを提供しています。歯も顎も一生使うものなので、より快適に使える環境を整えるように心掛けましょう。

参考文献

顎関節症治療の指針 2020(一般社団法人日本顎関節学会)

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